その他の地域での展開」カテゴリーアーカイブ

七保小学校四年生 地元学の振り返り

七保小学校の4年生は、3年生から地元学をしてきました。3年生のときは、七保の山を歩き、たくさんの木について勉強しました。人が山に入り、木を切ったり、スギやヒノキなどの木を植えたりしたことで、動物たちの食べ物や住むところが少なくなって、動物たちが畑におりてきていることを知りました。
4年生になってから、宮川やふじ川に行って、石を集めたり、たくさんの生きものを見つけたりしました。夏休みには、「七保のお宝マップ」を作って、七保の自然についてたくさんのことを知りました。そして、「七保のお宝」について、みんなで何度も話し合いました。山に囲まれ、川もある自然が豊かな七保。いろいろな種類のある「木」、たくさんの種類の魚や虫などの「生きもの」。この2つを「七保のお宝」にしようと決めました。そして、一人ひとりが、「生きものを大切にする」「木を大切にする」という思いを込めて、木を使った物をデザインし、つくりました。

カブト虫をデザインしたコースター

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ぼくは、カブト虫をデザインしたコースターを作りました。夏休みの「七保のお宝マップ」を作るときに、七保には山がたくさんあって、カブト虫などがいっぱいいることが分かりました。だから、そんなカブト虫が住む山を大切にしていきたいという気持ちを伝えたかったからです。生きものを大切にするために、山を大切にしていきたいです。

シカや牛をデザインした本棚

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わたしは、本だなをデザインしました。本だなの横の部分に、シカと牛の絵をちょうこく刀でほった木をつけました。どうして、シカや牛の絵にしたかというと、動物を大切にして、いっしょうに生きていこうということを伝えたいからです。人は、シカやサルやタヌキを見つけるとすぐにりょうしさんをよんだり、大きい音を立てたりして、追いだそうとします。生きものが何もしていないのに、うたれてしまうのはかわいそうだと思うからです。そのようなことがへってほしいと思います。

サルをデザインしたコースター

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わたしは、コースターにサルのデザインをしました。七保には、サルがよく出ます。わたしたちの学級園の野菜もサルに食べられました。人間が山を人工林にしたから、スギやヒノキの花粉で苦しむ人もふえたし、山に住む動物が食べる実もなくなってしまいました。農家の人は、サルやイノシシなどの動物が畑の野菜をとっていくので困っています。山に住む動物たちは、どんぐりなどの木の実がなくなって困っています。スギやヒノキのアレルギーで困っている人もいます。人や動物たち、それぞれが困っているので、これ以上自然の山をこわし、スギやヒノキにしないでほしいという思いをこめました。

自然をデザインした箸

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ぼくは、はしをデザインしました。七保には、山がたくさんあって、その山には虫がいっぱいいます。また、宮川とふじ川という二つの川があって、そこには、いろいろな魚が住んでいます。だから、虫と魚をかくことにしました。はしは、ごはんを食べるときに使います。七保には、自然がいっぱいあって、人はその自然の食べ物を食べることもあります。七保に住む生きものを大切にすること、そして、自然の食物を大切にしていくことを伝えるために、このはしをデザインしました。

生きものをデザインした写真立て

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ぼくは、写真立てをデザインしました。このデザインには、生きものを殺さないでほしいという思いをこめました。自然に生きている虫をふんで殺したり、花をふんだりする人がいます。虫や花などの生きものを大切にしていくことを伝えていきたいと思ったからです。また、木を切ることは全て悪いわけではなく、自然のために大切なこともあるけど、人は木を切ります。その切った木の使えるところは、使うことが大切だと思います。だから、ぼくは、はい材を使ってこの作品を作りました。はい材をこのようにして利用していくことも木を大切にしていくことになります。

シカをデザインしたコースター

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ぼくは、コースターをデザインしました。コースターには、七保でよく見かけるシカをかきました。七保の自然を大切にして、生きものを大切にしたいからです。コースターのうらには、「七保げんき村」のはんこをおしました。げんき村では、ぼくたちがしてきたように木でいろいろな物を作っています。そして、げんき村の人の協力でぼくたちは、作品を作れたからです。

木をデザインしたコースター

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ぼくは、コースターをデザインしました。コースターには、七保の木を使いました。自然の木を持ってきたので、皮をはぐところから作品づくりを始めました。コースターには、木をかきました。七保には、山がたくさんあって、木がたくさん生えています。自然に育った木も、人が山に入って植えた木もあります。そんな木をむだに切ってほしくないし、みんなに木を大切にしてほしいからです。

木とサルをデザインしたコースター

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ぼくは、コースターをデザインしました。コースターには、木とサルをかきました。七保では、サルが畑のものを食べることがあります。いろいろな人が山に入って木を切るから、動物たちの食べ物がへっています。だから、動物たちは、人の畑に入って食べ物を食べてしまいます。そして、山からおりてきた動物は、人にうたれてしまうこともあります。ぼくはそのことがとても気になっています。木を切らなかったら、動物たちは、山で生活できるかもしれません。だから、コースターに、木を切らないでというメッセージを書いてみんなに少しでも木を大切にしてもらいたいと思っています。

自然をデザインしたコースター

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ぼくは、コースターをデザインしました。「木」は、木が一本生え、草がしげり、空が広がっていることを想像してかきました。「川」は、七保に流れる川で、つりを楽しむ人を想像してかきました。「空」は、青々と広がる空にちょうが飛んでいることを想像してかきました。七保の大切な自然を3つの絵で表現しました。

木とサルをデザインした写真立て

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わたしは、写真立てを作りました。この写真立てには、サルが木につかまって笑っている絵をかきました。人が木を切ると、動物の住む場所がなくなったり、食べる木の実などがなくなったりしてしまうから、むやみに木を切ってほしくありません。でも、人にも、家を造ったり、家具を作ったりするのに、木が必要です。だから、人は、少しずつ考えながら木を切らなくてはいけません。また、自然の木を切って、スギやヒノキなどに変えると、人も花粉症などでつらい思いをします。なので、木をたくさん切ってほしくないという思いをこめて作りました。

■野原工房 げんき村

原宿表参道『森の恵・森の風プロジェクト』

2012年3月18日 風船トークvol.5 in 表参道

「息を吹き込む、碧く湿った息を、都市に眠る竜にそうっと」

「原宿表参道 まち歩き・風歩き・いきもの歩き」イベント

「原宿表参道 森の風・森の恵プロジェクト」の一環として、明治神宮の大きな森から街に流れ込む涼風や生き物の道を感じながら表参道を歩き、新たな文脈で都心に潜在する価値の発見を行います。
これまで、原宿表参道に眠っていた魅力や価値を掘り起こしていくために、明治神宮の森から広がる風の道や都市の中を移動する生きものたちの道、コンクリートジャングルに潜在する里山、欲望のデザイン、これらの魅力や価値とともに土深く眠る竜、など様々な文脈で原宿表参道という都市空間を読み解いてきました。
そして、魅力に気づいてもらうことから生まれる都市と自然が共存する新しいライフスタイルやブランドづくり等をとおして、竜を目覚めさせ、表参道の未来図を描いていくことを目指しています。

風船トークvol.3「都市のノマドたちが里山の竜をよみがえらせる」
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日時:2011年2月9日(水)19:00~21:00(開場18:30)
場所:アップリンク・ファクトリー
参加費:一般2500円 学生2000円(1drink込み)

等々力 政彦(トゥバ民族音楽演奏家)
飯島 博(NPO法人アサザ基金 代表理事)

心に浮かんだ言葉を自由に語り合い、都市に眠る竜を目覚めさせるトークショー。
これまで明治神宮の森から広がる風の道や都市の中を移動する生きものの道、コンクリートジャングルに潜在する里山、欲望のデザイン、これらの魅力や価値とともに土深く眠る竜、など様々な文脈で原宿表参道という都市空間を読み解いてきました。
第3回目の開催となる今回は、風を感じ、地形を読み、生きものや自然と対話し、管理された空間を越境するノマド(遊牧民)の文脈で都市を読み解きます!
等々力政彦さん(トゥバ民族音楽演奏家)をゲストにお迎えし、南シベリアの民族音楽と共に、トークとライブで都市の竜を目覚めさせる物語を紡ぎます!

■等々力政彦さんプロフィール
トゥバ民族音楽演奏家。10年以上にわたり南シベリアで喉歌(フーメイ)などのトゥバ民族の伝統音楽を現地調査しながら、演奏活動をおこなっている。あがた森魚、朝崎郁恵、安東ウメ子、EPO、OKI、押尾コータロー、古謝美佐子、大工哲弘、Huun-Huur-Tuなど内外のミュージシャンと共演、およびアルバム参加。嵯峨治彦(モンゴル民族音楽)とのユニット「タルバガン」、OKIのFar East Bandで活動。

表参道を起点に都市空間を「生きもの」や「風の道」といった新たな文脈で読み解きながら、都市に潜在する意味や価値、そして竜たちを浮上させていくトークセッション。毎回、表参道に関わる様々な人々と共に、自由で創造的な雰囲気の中で語り合い、物語を紡いでいきたいと思います。都市に眠る竜たちをめざめさせるプロジェクトに、ぜひご参加ください。

原宿表参道 まち歩き・風歩き・いきもの歩き 2010.秋
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日時:2010年10月17日(日) 午前の部 10:00~/午後の部 15:00~
(雨天時は10月24日に延期します。)
 場所:神宮橋(原宿駅「表参道口」から明治神宮へ向かう途中にある橋)に集合し、表参道界隈を自由に歩いていただきます。
 参加費:無料
風船になぐらし(沖縄県多良間島の子ども達のメッセージが入ったサンゴのかけら)をつけ、原宿表参道のまちを風にのって歩きます。
途中で出会う生きものたちが、風の道を教えてくれるかもしれません。
明治神宮の森から広がる生きものの道、風の道に関して、お店の人やまちで暮らしている人達から聞き取りなどを行います。
そして、風の道・生きものの道を都市に広げて行く方法を考えます。

表参道・原宿の子どもたちと野外観察!


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原宿表参道・森の恵み・森の風プロジェクトの一環として、2009年から毎年夏に、表参道に位置する小学校の子供たちと野外観察を行っています。
表参道をはじめ、原宿、明治神宮など、東京の大都会を毎回約10名の子供たちと一緒に生きものの目線になり見直します。
するとそこには今まで気づかなかった、明治神宮、代々木公園からつながる生きものの道が見えてきます。

2009年7月30日
学校に集合した子ども達は生き物好きのつわものぞろい!
開始早々けや木通りで、虫取り網とかごをもってあるいていると、なんとカブトムシを発見!子どもも大人もみんな大興奮!
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8月19日
この日はけや木通りで虫取り網の中にヤモリが!前回のカブトムシに引き続き、思いがけないサプライズにみんな大興奮!
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8月25日
この日は表参道から 原宿を通り、東郷神社へと向かいます。
原宿では道路の下を流れているという渋谷川の音に補聴器を使って耳をすませます。川の流れる音は聞こえたかな?
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東郷神社では、水辺を好むコシアキトンボを発見!たくさんのセミのぬけがら集めました。
3回の野外観察の中で、まちを違う目線で見つめなおすと、自然とはかけ離れた世界のように思っていた原宿、表参道には、明治神宮から生きものの道、風の道が広がっていることがわかりました。
そして何より子供たちの感性のするどさには感動しました!スタッフが下見をした際は、まったく生き物を見つけることができなかったまちで、子供たちは次々に発見をしてくれました。

今後プロジェクトは多くの人を巻き込んで展開していく予定です。皆様こうご期待を!

原宿表参道『森の恵・森の風プロジェクト』

原宿表参道まちエコキッズ・ネットワーク

・NPO法人アサザ基金
http://www.asaza.jp/
Tel: 029-871-7166 Fax: 029-801-6677 mail: asaza@jcom.home.ne.jp

・(株)ジャパンエリアマネジメント
http://areamanagement.jp/
Tel: 03-3835-4506 mail: info@areamanagement.jp

・商店街振興組合原宿表参道欅会

原宿表参道まちエコキッズ・ネットワークへの参加お願い


この「原宿表参道まちエコキッズ・ネットワーク」は原宿表参道を舞台に多くの方に関わっていただきながら、竜動的に展開、発展していくネットワークです。
ぜひネットワークへご参加ください。

・プロジェクトスポンサー
資金面でのサポート(プロジェクト全体、もしくはイベントごと)
 風船広告への協賛
・プロジェクト運営スタッフ
イベント運営スタッフ(MAPの作成、ポスター、チラシ作成、当日運営等)
協力者のご紹介
プロジェクトの展開にあたり、ご協力いただける方がいらっしゃいましたらご紹介ください。
・地元の方のご協力
 表参道の昔のようす(歴史やくらし)や、生きもの、森のことを教えてください。
 イベントスペースのご提供、ビオトープネットワークへの参加
・沖縄との連携協力
多良間島の黒糖を使ったメニューの開発・販売
・広報
イベントの告知、参加者の募集
プロジェクト運営スタッフの募集

原宿表参道まちエコキッズ・ネットワークにご興味を持っていただけましたら、アサザ基金までご連絡ください。
皆さまのご意見、ご提案等お待ちしております。

原宿表参道『森の恵・森の風プロジェクト』

原宿表参道 まち歩き・風歩き・いきもの歩きイベント開催

風船トーク「まち語り・風語り・いきもの語り」@アップリンク・ファクトリー

都市に竜が眠っている。
新しい物語をつくるのに、
鎖につながれた言葉はいらない。
まちになって、風になって、
生きものになって、
ふわふわと心の動くままに、感じたままに、
思い付いたままの言葉を
細い糸を頼りに
宙に浮かべながら竜動的に語り合う。
それが風船トーク。

表参道を起点に都市空間を「生きもの」や「森の風」といった新たな文脈で読み解きながら、都市に潜在する意味や価値を浮上させていくトークセッション。
今回は8月16日に渋谷UPLINK FACTORYにて初の風船トークを開催しました。
代々木の森を抱くように横たわる昔の谷地形(谷津田)に位置するUPLINK FACTORYから、都市に眠る竜たちを目覚めさせるプロジェクトが、いま動き出しました!
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登壇者:飯島博(NPO法人アサザ基金 代表理事)
西本千尋((株)ジャパンエリアマネジメント 代表取締役)
村越義人(流石組プロデューサー)
本條 晴一郎(東京大学東洋文化研究所特任研究員)
場所:UPLINK FACTORY(アップリンク・ファクトリー)(渋谷区宇田川町37-18 トツネビル)
主催:原宿表参道・まちエコキッズ・ネットワーク
共催:商店街振興組合原宿表参道欅会

ふわふわと心に思い浮かんだ言葉を浮かべながら語り合うこの空間には、ステージと客席の間に壁はありません。
参加者と登壇者が一体にになった創造的な雰囲気の中で、いままでにないトークショーに皆さんもスタッフも一緒に非常に楽しみました。

風船ウォーク「まち歩き・風歩き・いきもの歩き」

風と一緒に歩けば、いつもと違う何かが、意外な出会いが待っているかもしれない。
東京都心の大きな森、明治神宮から真夏のコンクリートジャングルに流れ出す幾筋もの涼風。
今回8月21日に行われた風船ウォークでは、その森の風を案内人に、風やトンボと一緒に「動き」そのものになって、まちを歩いてみることから始めました。

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当日は地元の原宿隠田商店街会長の佐藤銀重さんや、表参道に住む昆虫の専門家石川良輔さんによるお話をまじえ移り変わる原宿表参道の様子や、生きものがにぎわう昔の様子などを知ることができました。
そして、なんと東郷神社では都心部では姿を消したといわれていたハグロトンボ(涼しい場所を好み里山の清流に住むトンボ)を大発見!きっと明治神宮の森の恵の中で生き残っていたのですね!
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他にも参加者の方のたくさんの発見や感想をご紹介します!
・気持ちのいい風を感じました。神宮の森からの風や水の流れるいい町ですね。竜神様が守ってくださっています。生きもの達もたくさん見られました。すばらしい地域を大切にしていきたいですね。
・今日はありがとうございました。普段何気なく歩いている場所でしたが、確かに風を感じました。風と共にたくさんの虫たち!バッタや蝶を発見!トンボも!小さい頃や山などでよく見た虫たちで、まさかこんな街の中でも元気に生きているとは!感激ですっ!これからはもう少し自分にも「風の目」をつけようと思いました。
・原宿は風の街。トンボもチョウも風にのって涼しく楽しんで街を行く。歴史と自然と人と、奥が深いぞ原宿は!
・護岸の跡がいろんなところにみられました!川に会いたい。
・風が谷に沿って流れているなんて知らなかったし、あんなに沢山の生き物達がいるなんて驚きでした。ちょっと注意を払わないと、まったく気付かない様なことが身の回りには沢山あるんだね。そんなことに気付けたのも嬉しかったです。

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風船トーク、風船ウォークあわせ約80名の方に参加頂き、原宿表参道というコンクリートジャングルに眠る竜を、人々の心の中に潜む竜を、目覚めさせる物語が今動き出しました!
風船トーク、風船ウォークともに次回は10月に行う予定です!
ぜひみなさんも一緒に小さな物語紡ぎませんか?

原宿表参道『森の恵・森の風プロジェクト』

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脱温暖化・生物多様性保全に向けた価値創造的な取り組みのネットワーク展開
水墨の森から滲み出す水を、たっぷり筆にふくんで描く、水彩の街そして都市

1. もしも、明治神宮の森がなかったらどうなるだろう?想像してみよう。
東京都心のヒートアイランド現象は?みんなの暮らしは? 東京都心を明治神宮の大きな森が涼しくしてくれている?!
神宮の大きな森は、きっと真夏に涼風を街に送ってくれているにちがいない。
その涼風の通り道はどこにあるのかな?そして、どこまで涼風を広げていけるのだろうか。
森の風や生き物達と対話しながら、都市の中の自然の恵みを感じ取り、神宮の森の恵を活かした未来のまちづくりやみんなの暮らし方を考えていこう。

例)地球温暖化やヒートアイランド現象、地域の自然環境、環境技術などについての出前授業を入口に、地球環境と地域環境のつながりを理解する学習。まず、明治神宮周辺半径2㎞内の小中学校を対象。

2. 風の道、神宮の森から街に流れ込む涼風(森の風)は、どこをどう流れていくの?どうしたら、涼風が流れる道が見えるようになるのだろう?
地図で調べる、衛星画像を見る、温度計やセンサーで測るなど、いろいろあるかもしれない。みんなで森の風をもっと見えるように、もっと感じられるようにしてみよう。

例)いろいろな場所で気温を測る、風船や線香などを利用して風の流れを調べる学習やイベント。衛星画像から森の恵(新しい文脈)を読み取る学習。ネットワークセンサーを各ポイントに設置して、気温や風の変化を把握し、多くの人々に知ってもらう。

3. 生き物の通り道、生き物達は神宮の森から吹き出す涼風を見つけて暮らしているかもしれません。
森の風を見えるようにするために、生き物とお話しする方法を覚えよう。暑い日は生き物達も暑さを避けて涼しい場所を探しています。
身近な生き物達を調べて森の風を探してみよう。生き物の道・森の風マップをみんなでつくろう!生き物達が新しい暮らしやまちづくりのヒントを与えてくれます。

例)身近な生き物や環境を調べる総合学習や理科学習、観察会、アンケート調査の実施。神宮の森や周辺の生物の生息状況についての現況調査。

4. 昔の風の道や生き物の道は、神宮の森からどこまで広がっていたのでしょうか。 森の風や生き物達の道は、今と昔ではどう変化したのでしょうか? 昔は今ほど街の中は暑くなかったとよく聞きます。昔はもっと街の中で生き物に出会ったそうです。
昔の様子を知ることで、私達が行うこれからのまちづくりの目標を考えることができます。
同時に、昔の暮らしを知ることで、森の風を活かした暮らしの知恵を学ぶことができます。

例)世代間の交流をはかる総合学習やイベント。年配の方々から小中学生が聞き取りを行う。アンケート調査を行う。迅速図などの昔の地図や写真、絵などを活かす。

5. 神宮の森の恩恵を感じることで、今まで見ていた街の風景が違って見えてくるはずです。 森の風や生き物達との対話をとおして、都市に暮らす人々も神宮の森の恩恵に気付くことができます。そして森の恵み(涼風や生き物)を活かした暮らし方やまちづくりを考えることができます。
表参道欅並木が森の風や生き物達の通り道に見えてくるかもしれません。地形を見る目も違ってくるかもしれません。
地域に眠っていた価値にみんなが気付き、その価値をみんなでもっと大きく広げていく取り組みをとおして、脱温暖化や脱ヒートアイランドに向けたライフスタイルの確立やまちづくりへの意識を高めていきます。

例)表参道欅並木は、神宮の森から都市空間にのびた一筋の緑の道。森の恵みを都市全体に広げていくための導入線。
欅並木のエコロジカルな機能を高めることで、都市全体に分布する潜在的な資源を浮上させ、エコロジカルネットワークの構築へと人々の目を向けさせる。
都市にエコロジカルな文脈を展開する起点であり、大きな森と都市を結ぶ線(導線)である欅並木を、自然と対話する都市に向けた価値創造の場(ブランドづくり)として位置付ける。

例)竹下通りは神宮の森につながった谷地形→森からの涼風が流れ込みやすい場所。ここに集まる若者達にも、神宮の森の恵みを感じてもらう。若者達のやり方で活かしてもらう、表現してもらう(見えるようにしていく)。そして、森の恵み・森の風を感じたら、夏にはエアコンの温度設定を少し高めに、そして、時々は窓を開けて見よう。

6. 明治神宮の森に湧く水を活かそう!清水を暗渠に流すなんてモッタイナイ。
今は大半が暗渠になってしまった渋谷川の水源のひとつが神宮の森の中にあります。
神宮の森が都市に残された貴重な水源であることを忘れていませんか。
神宮の森の恵みである清らかで豊かな湧き水を活用して、森の風や生き物達の通り道としてのケヤキ通りの機能を高めていきます。

例)神宮の森の水を採水し、散水車で欅並木の車道に散水する。周辺の気温上昇を抑える。森の風が流れやすくなるようにする。欅並木の生育環境を改善する。生物の生息しやすい環境をつくる。さらに、旧渋谷川に沿って道路に散水する。
清正井(水源)の水を使って、欅並木の歩道に打ち水イベントを行う。参加者のTシャツに里山の生き物達の写真や絵をプリントして、プロジェクトの目的をアピールする。将来的には、導水管で神宮の森から欅並木に水を送り、坂道の傾斜を利用して歩道脇に水場や小川を設置する。車道にも導水管から水が散水できるようにする。

例)竹下通りの入り口付近に手動のポンプを設置して地下を流れる神宮の森の水(旧穏田川)を汲み上げられる場所をつくる。汲み上げた水で竹下通り近くの原宿駅や車道・歩道に打ち水を行う。ここを訪れる若者達がいつでも自由にボランティアで打ち水を行えるようにする。

7. 森の風と生き物達の道を都市全体に広げていくためには、どうしたらいいだろうか。
神宮の森の周辺にある各小学校で森の風や生き物の道を活かしたまちづくりや暮らし方を学ぶ総合学習を行っていけば、子ども達の夢の広がりと共に自然とネットワークが展開していくかもしれません。ここから新しい物語が始まるかもしれません。
明治神宮周辺の小学校と霞ヶ浦で自然再生の取り組みを行ってきた石岡小学校等との交流を行い、当モデル事業の他地域への普及をはかります。

例)周辺の各学校にビオトープをつくり、集まる生き物を観察することで、地域の生物供給ポテンシャルを把握する。生き物をとおして地域と神宮の森のつながりを探る。生き物の目をとおして、地域の課題と潜在的な資源を見つける。霞ヶ浦での湖や水源地・谷津田の自然再生や小中学生の活動現場を見学し、地元の学習や活動に活かす。

8. 温暖化防止に向けた数値目標の身体化。
無味乾燥な数値目標から始まる取り組みではなく、地域の空間の文脈化や人々の生活文脈をとおして、数値目標を身体化していく取り組みをめざします。

例)森の風や生き物の道を広げ、森の恵を活かした暮らしやまちづくりを実現させるために必要な地域資源の空間配置や取り組みの空間展開を絵図に表現してみる学習。実現に必要な地域の人々のつながりをネットワーク図に表してみる学習など。取り組みの広がり(空間やつながり)によって、一人ひとりの脱温暖化への取り組みが重なり合い大きな効果(数値)に結び付くことを実感する学習。
省電力や3Rなどの取り組みもこの文脈の中で価値に変換され、価値の共有化としてより効果的に普及できる。

9. 表参道にエコロジカルネットワークの起点としての新しいブランド価値を創出する。
明治神宮の大きな森から街に流れ込む涼風や都市に広がろうとする生き物の道があることに、みんなが気付くことができる場、それが原宿表参道です。ここは環境の時代の新しい文脈が生まれ価値が創造される場です。
ここから付加価値の連鎖を都市全体に広げていきます。
ここを訪れる多くの人達に、神宮の森の恵みを感じてもらい、その価値を共有してもらうことで、都市に新たな文脈(物語)を創り上げるための様々な社会実験を行うことができます。

例)未来の表参道欅並木は・・・・。地域の潜在的な可能性を表現する未来図づくり。
並木に沿って小川が流れ、森の風の中をトンボや蝶が飛び交い人々も行き交う、青山通りの交差点で信号を待つ人々を表参道から吹き出す涼風が迎える。
未来の表参道を想像してみる。ここから始まる価値創造的な取り組みが、付加価値の連鎖をとおして、東京の未来図へと展開していく。
原宿表参道は、人々が新しい価値と出会う街。そして、新しい価値が生まれる街。
格好いいエコやおしゃれなエコ、可愛いエコがここから始まる。

10. 表参道から始まる物語(エコロジカルな文脈が都市に広がる)
表参道欅並木は、自然と対話する都市への道・・・・水と風で描く新しい都市。
脱温暖化の取り組みが、これらの文脈(物語)の中で、新たな価値を創造する取り組みへと転換され、多くの人々が共有する地域の価値(ブランド)の創出へとつながります。

明治神宮の森から滲み出し、都市へと広がる物語。

○森の恵みが見えるようになる。
○涼しい風の道が見えるようになる。
○生き物達の道が見えるようになる。
○みんなの思い出が見えるようになる。
○みんなの想いが見えるようになる。
○みんなの可能性が見えるようになる。
○眠っていた価値が見えるようになる。
○都市の未来が見えるようになる

もちろんその過程で様々な問題も見えるようになるが、それらの問題を乗り越える新たな価値も次々と見えるようになる。

「原宿表参道Eco*Avenue MOVEMENT 21」
2008年12月16日
NPO法人アサザ基金   代表理事 飯島 博

小学校環境教育出前授業

シャープ株式会社・気象キャスターネットワーク協働事業
「小学校環境教育出前授業」

2008年10月からシャープ株式会社NPO法人気象キャスターネットワークと協働事業を行っています。
地球温暖化防止に取り組むと同時に、自然と共生するまちづくりにも視野を広げる学習プログラムを全国各地で展開しています。

3者協働出前授業 概要

●学習テーマ
・「地球温暖化と生態系保護とリサイクル」
・「地球温暖化と生態系保護と新エネルギー(太陽光発電)」
●実施対象 全国の小学生4年生~6年生

子どもたちが主役の地球環境を守るまちづくりを全国展開!

地球環境問題は非常に重要な課題です。
温暖化や生物多様性の消失など地球環境問題は、全世界で非常に重要な課題です。
2008年7月の洞爺湖サミットが開催され、『2050年までに温暖化ガスを少なくとも50%削減すること』を世界全体の目標としました。また、環境問題はさまざまな要因が複雑に絡み合って起きています。
よって、それぞれ個別の問題としてとらえて対策を実行するのでは解決は期待できません。

子どもたちが主役の地球環境を守るまちづくりを全国展開!

私たちは、地球温暖化防止、循環型社会構築には地域に根ざした取り組みが不可欠だと考えています。
そこで、この事業ではまちづくりを通して環境問題に取り組んでいきます。その推進役は、子どもたちです。
未来を担う子どもたちの豊かな発想・感性を活かした学習からまちづくりを展開してきます。
そして、この地域ぐるみの活動が全国各地で展開していくことで、地球温暖化防止を実効のあるものにしていきます。
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下根中学校でCO2削減をテーマに取り組む学習を進めています

牛久市の下根中学校で、すでにこの協働授業を実施する計画が進んでいます。

下根中学校は、CO2削減をテーマに学習に取り組んでいます。牛久市で進められている『牛久市バイオマスタウン構想』と子どもたちの学習を連携させて、授業を行います。(牛久バイオマスタウン構想についての詳細はコチラ)生徒たちは、授業を通して牛久市バイオマスタウン構想の推進役として何ができるのか提案していきます。

下根中学校の学習プログラムは以下の通りです。

学習プログラム「循環未来図づくり ~牛久発見プロジェクト~」
1 「地球の中の牛久」発見! (気づき)
2 「牛久のお宝」発見!   (気づき2)
3 「牛久の可能性」発見!  (深める)
4 「牛久の未来」発見!   (提案する・問題解決)

※詳しくは、コチラ (PDFファイル)を参照

子どもたちは、牛久には眠っている遊休農地や廃油などお宝(資源)があることに気づきます。その後、昔の里山文化の資源の循環や知恵を地域の方から聞き取りをして、昔の里山循環図をつくります。また、現代の技術やシステムを調べ、実際にその技術を牛久に導入した場合の検証を行います。最終的に、牛久の特性にあった牛久ならではの循環型社会モデル構築を目指します。

また、この授業ではひまわり栽培を行い、資源の循環を体験します!

子どもたちと一緒に6月にひまわりの種を蒔き、育て、10月には出来た種を収穫します。ひまわりの種を絞って、油をとります。その油を使用して調理実習を行い、そこで出た廃油をバイオディーゼル燃料にします。

これは牛久市バイオマスタウン構想の中で、ナタネを利用して考えられている循環と同じものです。
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ひまわり栽培を通じて、バイオスタウン構想で計画している事業を実際に体験し学習します。

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授業の様子

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沖縄本島

沖縄本島(宜野湾市大山)

ターン厶畑でみ~つけた!

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沖縄本島中南部に位置する宜野湾市
ここには県内でも有数の湧水群があり、湧水と豊かな土壌を活かした田芋(ターンム)栽培を行っている 大山地区という場所があります。
しかし、田芋畑は市街地化や休耕地化に伴い、農業地区の減少が進行おり、食の伝統文化や生物多様性の損失が懸念されています。
また、田芋栽培を支える豊富な湧き水は米軍基地(普天間基地) の森に守られていると言われています。
この豊かな環境を守るために、基地返還後のまちづくりを考えるために、宜野湾市内の子どもたちが動き始めました。
また、深刻な田芋畑の休耕地の荒廃を止めるために、地元の人たちと協働でトラストや市民ファンドの構想を立ち上げています。

田芋畑に隣接する大山小学校の子どもたちは、2012年5月「生きものとお話する方法」について学びました。地域のお宝を見つけるためには?
自分たちの住むまちをどんな風にしたいんだろう?
そのためには、生きものとお話ができるようになれば、たくさんのつながりを教えてもらうことができるよ!
・・・子どもたちの夢が詰まった新たなまちづくりの物語が始まりました。
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プロジェクト詳細はこちらをご覧ください。

第1回目の授業の様子を、動画でご覧になれます。

大山の田芋畑は、地域に眠る様々なつながりから新たな価値を生み出すことを学べる大切な場所。
地域の人々の知恵や経験と、子どもたちの夢や展望が出会う日はすぐそこです!

宮古島・池間島

宮古島

宮古島 こころの泉でつなぐ島づくりプロジェクト
亜熱帯サンゴの島・宮古島で、環境保全と一体化した地域活性化モデルを宮古島の地域特性を活かした形で構築することを目標とした「宮古島 こころの泉でつなぐ島づくりプロジェクト」。
宮古島には池や川がほとんどなく、豊富な地下水脈は島全域が水源となっています。
そして宮古島には、この地水脈によって支えられた人々の暮らしと豊かな自然が今も残っています。
このプロジェクトでは、地下水脈の保全を軸に多様な分野をつなぐネットワークをつくることで持続的に島全体の生態系を保全していきます。

ひとりひとりの心の中に泉を掘り起こし、すべての泉が地下水脈でつながっていることを多くの人々に伝え、島内外の多様な人々を結び付けながら・・・プロジェクトを進めていきます!

※現在この事業に参画してくださる企業を募集しています。

子どもたちによる取り組み
宮古島北部にある狩俣小学校では、宮古島ならではの生きものの通り道や、自然豊かな地域の特色に注目し学習を進めています。
2012年2月4日にはうしくサイエンスフェスタ かっぱ大交流会の中でインターネット中継を通して取り組みを発表しました。
子どもたちは環境やまちづくりをテーマに牛久市内の小学生と交流を図り「宮古島の自然の豊かさをたくさんの人に知ってもらい、宮古島の生き物や自然を守りたい!」とさらなる展開に意欲を見せていました。
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うしくサイエンスフェスタ2012 かっぱ大交流会にインターネット中継を利用し参加しました!kiji2
<宮古毎日新聞 2012年2月5日>

池間島

宮古島北部から橋でつながる池間島。
ここには池間湿原というたくさんの生き物が観察できる自然豊かな湿原があります。
また、自らを「池間民族」と呼ぶ人々が暮らし、古い歴史と新しい価値を取り入れた民泊事業を島民が一丸となってはじめるなど、とてもユニークな島でもあります。
2011年6月、池間小学校の子どもたちは、島にある小規模多機能型居宅介護事業所「きゅ~ぬふから舎」を訪問し、島のお年寄りに池間島での昔の暮らしや自然、当時の遊び、見かけた生き物などについて聞き取りを行いました。
お年寄りの知恵や経験を通し、池間島の将来について考える大きなきっかけとなったことでしょう。
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多良間島

多良間島は竜のたまご!
竜の道を取り戻すために、多良間島の子どもたちが立ち上がりました。
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写真:多良間村村制施行80周年記念写真集「多良間島の八月踊り」より

234多良間島で進行している地下水汚染を食い止め、島の人々の生活と豊かな亜熱帯の自然環境、八月踊りやクバ扇などの伝統文化を守ることを目指す取り組みです。
そのために、現在地下水汚染の主な原因となっているサトウキビ栽培の改善を促すことを目的に、環境保全型栽培のサトウキビのブランド化を図ります。
環境保全型農業の推進には、農場へのフクギなど伝統的な防風林に再生やトンボやカエル、ヘビなどの生息に適したビオトープを設置し生物多様性の保全も行ないます。
また、これらの取組みを地元の多良間小学校の総合学習と一体化し、子どもと大人が協働で進めるブランドづくりとして実施していきます。
今後の展開にご期待ください!

子どもたちとの環境学習

2009年から、多良間島の村立多良間小学校で授業を開始しました。
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<宮古新報 2010年2月3日>

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わくわく子どもの池プロジェクト

NECキャピタルソリューション株式会社協働事業 
「わくわくこどもの池プロジェクト」

概要


大都市である東京都内でも注意深くまちの中を見ているとチョウやトンボ、カエルなど様々な生きものの姿を見ることができます。
これらの生きものが見られるということは、それぞれの生きものが暮らしていくために必要な環境要素が東京という都市の中にあるということです。
たとえばチョウなら食草となる植物、トンボなら産卵するための環境や植物とヤゴの間を過ごす水辺です。
一見すると都市の中に生きものが暮らしていくために必要な環境や要素はあまりなさそうですが、実は東京という都市には生きものがなんとか暮らしていける環境が残されています。
また、意外と多くの生きものが都市周辺の農村地域から供給され、移動してきます。
しかし、それらの生きものが移動した先の都市には、生きものが定着できる場が多くはありません。

生きものが暮らしていくために必要な環境がある場所は、東京では学校や公園、寺社などに残っています。
これらの場所は都市の生きものの移動分散の拠点となっていると考えられます。
それらがカエルやトンボやチョウなどの生きものが移動できる範囲内に点在していることで、生きものはそれらを利用しながら暮らしていくことができていると考えられます。
このように都市の生きものたちはそれら拠点とそれをつなぐ生きものたちの通り道、「生きものの道」を使って暮らしています。
生きものの道は、上記の生息地のほかにも街路樹や民家の花壇などによっても形成されています。
しかしこれらの環境は生きものの生息や移動に配慮したものではありません。
そのため生きものの視点で少し改良を加えることでより多くの生きものが都市の中にやってきて生息することができるようになるポテンシャルがあります。
現在の都市は人のための道、建物、空間配置によって作られてきた結果、生きものとっては大変暮らしにくい空間となっていますが、多くの生きものと人間が共に暮らしてきた里山文化を活かすことで、自然と共存する都市づくりへの転換が可能です。

そこで生きものとの出会い、共生できるまちづくりを強く望んでいる都会の子どもたちと生きものと共生できるまちづくりを進めていく取り組みがこのプロジェクトです。
小学校等でこどもたちと生きものを知り、地域を知り、生きものの道を調べるなど未来の都市づくりを考える環境学習とセットで、学校に生きものを誘致するためのビオトープ池をつくっていく活動です。
いつも通う学校で生きもののすみか、供給拠点となる学校ビオトープと呼ばれる池を作り、学校の周りから自力でやってこられる生きものを誘致します。
その成果を活かして、今度は自分たちのまちがどうしたら生きものと共生していくことができるか考え、地域に提案し、まちづくりの実現に取り組んでいきます。
次世代を担う子どもたちと一緒にまちづくりに取り組むと同時に、人材育成も行っている取り組みで、NECグループの中でリースやファイナンスを行うNECキャピタルソリューション株式会社が社員ボランティアと活動資金を、アサザ基金が学習プログラムやビオトープ作りのノウハウを持ち寄り協働で取り組んでいます。また墨田区や北九州市と協働で継続的に小学校での学習を進めています。

特徴


子どもたちと生きものの目になって都市空間を読み直し、生きものと共生できるまちづくりの実現に向けた可能性を見出し、都市の空間を生きものの目で読み直し、新たなまちづくりを実現していくこれまでにない取り組みです。
次世代を担う子供たちと都市の中に残る生きものの供給拠点を増やし、その間の生きものの道をつないでいくことで、生きものと共生できるまちづくりを実現していきます。
都市と農村を結ぶ生きものの道づくりまで視野を広げた学習を行います。子どもたちの意欲が強ければ強いほど、取り組み成果が上がる可能性の高い取り組みであることも特徴的です。

効果


これまで(2013年3月時点)都内を中心に30の小学校等がこの取り組みに参加してきました。
墨田区のように継続的に参加しているエリアでは、区内に学校ビオトープのネットワークができてきています。
ある学校ではトウキョウダルマガエルが見られるなど、ビオトープネットワークの効果もでてきているようです。
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このようにこの取り組みによって、こどもたちが都市空間を生きものの目で読み直す力を身につけることができるようになり、さらに、自然と共存する都市を構想できる人材育成を実現することができました。
特に東京都内では、里山地形が残されていることを活かして26校でこの構想にもとづくビオトープ池を造成してきたので、里山地形を通して生きものたちが広がっていくことができる起点、学校ビオトープネットワークが広がってきました。

活動内容


参加希望校の募集をNECキャピタルソリューション株式会社が窓口となり行います。
学校との打ち合わせからアサザ基金も参加し、ビオトープ池の造成と造成後に時間をおいてやってきた生きものを観察する授業まで、計10コマ程度の出前授業を実施していきます。
自然が豊かな地域から都市に移動してくる生物が定着できるようなるようにしていきます。
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この取り組みはこどもたちが主役なので、私たちはこどもたちの学習が最大限うまく進むように陰からサポートするのが主な活動内容です。(基本カリキュラム提示)
こども達の生きものに対する興味・関心を徐々に広げていき、最終的にはこども達の夢の実現の場(未来の都市づくりの第一歩)としてビオトープ池をこどもたち自らが作り、大人はサポートに徹する点がこの事業の特徴です。
座学以外にも校外に生きものの道を探しに行くことや既に池がある場合にはその池の生きもの調べを行い、生きものたちから既存の池の改良できる点を教えてもらいます。
そしてこどもたち自らがビオトープ池の設計を考え、実際に設置工事も行います。
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NECキャピタルソリューション株式会社では、未来を担う子どもたちに「自然と自分とのつながり」や「生きものを守ることの大切さ」を伝えるため、2007年からビオトープづくりを通じた環境教育プログラムを提供する社会貢献活動「わくわく子どもの池プロジェクト」に協働で取り組んできています。

位置づけ


・地域活性化:  人の生活のために特化した都市空間を生きものと共生できるまちづくりという文脈で空間を読み直すことで、都市に潜在している資源・価値を浮上させます。それを活かして自然と人間が共存する場として都市を里山化するという環境未来都市をイメージすることで、都市に人・モノ・カネの新しい動きを作り出します。
・環境教育: 都市と農村で二分化する固定された発想から、それらを生きものの道(移動・供給)で被われた同一平面として捉え、生きものの道を増やすことができる場として捉えなおすことで、都市空間をより創造的に読み直すことができるようになります。こども達は日々見慣れた都市空間の読み直しをする力(発想の転換)を身につけることで、地元に潜在する様々な価値や可能性を浮上させ、自然と共存する都市をイメージできるようにします。
・社会を変える: 子どもたちが地域の特色を知ることで、生きものの視点で都市を見直すという発想の転換により、地域の大人(PTA、自治会、企業、行政など)を巻き込みながらこの事業を進めることができ、自らの手でまちづくりを実現していくという新たな社会づくりのモデルとなります。
・企業との協働: NECキャピタルソリューション株式会社の企業理念、「Capital Solution」を通してより豊かな社会の実現に貢献する、をこの協働事業で実現するために、都市に潜在する資源(キャピタル)を活かして生きものと共存できるまちづくりの実現に取り組みます。このまちづくりの実現によって豊かな社会の実現に取り組みます。
・循環型社会: 都市に残る地形などを活かす発想を今後のまちづくりに取り入れていくことで、都市の里山化を実現していくことができます。そして里山の資源循環を活かした都市型の循環型社会のヒントを得る場となります。
・自然再生・生物多様性: 都市の里山化という発想で都市空間を見直すことで、学校や公園、街路樹などの社会資本や谷津田地形などが持つ、生きものの生息地や生きものの道としての機能を発揮させ、都市空間に自然と共生するまちづくりを実現していきます。

渡良瀬

上流と下流を結ぶ足尾山地の緑化・公共事業 わたわせ未来プロジェクト

足尾山地、渡良瀬遊水池は、足尾鉱毒事件で知られている日本の公害・環境問題の原点の地です。
足尾山地と渡良瀬遊水池の緑化・湿地の再生を地場産業のヨシズを使って同時におこなっています。
コウノトリが野生復帰できるような、健やかで豊かな自然環境を40年間かけて とりもどそうという、わたらせ未来プロジェクト。
霞ヶ浦のアサザプロジェクトと連携し、推進しています。

● 渡良瀬遊水池のヨシを使った緑化事業
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渡良瀬地域産のヨシを使った足尾山地の緑化・公共事業

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●ドングリの里親制度
生物多様性保全に配慮した緑化事業を行っています。

生物多様性保全に配慮した緑化事業とは?

上流の山地で行われている緑化事業では、効率性を重視することから、材料の供給が容易で定着が早い牧草をはじめとした外来種の植物が多く用いられています。
しかし、上流部での外来種の導入は、川を通してそれらの種の生育地の拡大を引き起こし、水系全体に大きな影響を及ぼすことになります。
このような外来種の生育地拡大は、在来種の生育地を奪い絶滅に追い込むとして、各地で問題化しています。
わたらせ未来プロジェクトを行っている足尾山地の緑化事業でも、これまで外来種が多く用いられてきました。
そこで、未来プロジェクトでは、生物多様性の保全に配慮した緑化事業を、上流下流のネットワークによって実施しています。
具体的には足尾山地に残っている森林で、ドングリなどの樹木の種子を採取し、植樹用の苗を育てるというものです。
緑化用のヨシズと同じ上流と下流の交流事業の一環として、足尾山地で採取したドングリを下流の渡良瀬湿地帯周辺の小学校や家庭で育ててもらう里親制度を行っています。
足尾山地で採取したドングリなどの樹木の種子を土壌の肥沃な下流に送り、里親に苗木に育ててもらうシステムです。
上流下流の小学校を結ぶ交流事業に、渡良瀬川流域の一般市民も加わり、流域ぐるみで足尾に本来の森林を取り戻す取り組みが始まっています。
このように、生物多様性の保全をはかり、外来種の管理を行うためには、水系全体を行政の縦割りを越えて結ぶネットワークの構築が欠かせません。
NPOの役割は、保全に向けた戦略を持って広域ネットワークを地域全体に構築していくことにあります。
NPO本来の役割は縦割り行政をその枠組みの中で補完することではありません。 代表理事 飯島 博

●画像をクリックすると拡大されます。
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足尾鉱毒事件

明治以降の日本は欧米をモデルに急速に近代化を押し進めていった。
足尾銅山は慶長年間から銅の採掘が行われていたが、明治以降の近代化の波に乗って急速に生産量を増大させていった。
しかし、古河鉱業は生産優先で環境への配慮がないまま銅の増産体制をとったため、銅生産に伴い発生する鉱毒は垂れ流しとなり、渡良瀬川を流れ下り流域に重大な被害を及ぼした。
被害は農産物にとどまらず、多くの人々が健康被害を被った。

足尾鉱山では銅の精錬に使う燃料調達のための森林伐採や精錬所の排煙によって、周辺の森林が大規模に破壊されていった。
足尾山地では約3000ヘクタール以上の森林が失われた。
それにより、山は保水力を失い、渡良瀬川下流では洪水が頻発するようになった。
東京に洪水と鉱毒が及ぶことを恐れた政府は、渡良瀬川と利根川の合流地域にあった谷中村を潰して遊水池にすることを決定した。
上流での大規模な森林破壊に伴う洪水や、垂れ流しの鉱毒を食い止めるために、治水事業と称して旧谷中村を強制廃村に追い込んで造ったものが、現在の「渡良瀬遊水池」である。

また、渡良瀬川流域は地域は田中正造をはじめとした人々によって、日本の環境保護運動が先駆的に展開された歴史的な地域でもある。
正造が最後まで公害と闘ったこの地に残した次の言葉はあまりにも有名である。
「真の文明は山を荒らさず川を荒らさず、村を破らず人を殺さざるべし」

代表理事 飯島 博

沖縄

おきなわ 海の道 森の道
いっしょに行こうね100年プロジェクト 「キジムナー型公共事業」

かつて沖縄全域に生息していたといわれる森の精キジムナー。
キジムナーを呼び戻そう!を合言葉に、地域の多様な人々や組織を結ぶネットワークを作り、地域に新しい人とモノとお金の流れを生み出すことで、環境保全と地域活性化が一体となった、自然と共存する循環型社会の構築をめざします!
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すぐ足下にある宝物にみんなが気づくことから、この物語は始まります!

100年後の沖縄で、森の道と海の道が平和と交流の道になって、世界中に広がっていくことを夢見て、あなたの物語を作り始めませんか?

詳しくはキジムナー型公共事業 企画書をご覧ください。

物語の舞台は島全域に。

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地域に失われていた様々な繋がり(人々のつながり、自然のつながり)を取り戻す新たな物語(文脈づくり)は、様々な出会いを通して、足下に埋もれていた価値を人々に気づかせます。
人々が地域の価値に気づき、それらの価値を共有し、さらに豊かなものにしようとする取り組みを通し、地域のブランド創出や真の地域振興を実現します。

 

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どんどん広がる!沖縄森の道 海の道

多良間島

宮古島・池間島

沖縄本島(宜野湾市大山)

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三重

「庭茶」でおもてなし

清流宮川の上流にある山村、三重県大紀町七保地区では、2009年から地元の小学校で地域の宝物さがしの学習を行っています。
地域に当たり前になって宝物になりそうなものを探しました。
そこで子どもたちが見つけたのが茶園です。
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七保地区は集落の家々の間に小規模な茶園が多い地域です。この特色を活かし「庭茶」といったコンセプトで、お茶のブランドづくりを通した地域の活性化や未来の担い手づくりを進めていきます。
今後の展開にご期待ください。

活動の流れ

すでにある茶園で環境保全に配慮したお茶づくりを行います。
七保地区には集落内に小規模な茶園が方々にあり民家と一体となった美しい景観を作っています。
しかし、近年の過疎化に伴い荒れた茶園が目立つようになってきました。
荒れた茶園を再生し、茶摘体験を行い、その後茶葉もみなどの製茶作業を体験して、農家の庭先でお茶を飲みながら里山の景色や地元の話を楽しんでもらいます。
その際に、地元の小学生が総合学習で学んだ地域の特色やお宝を来訪者に説明し、案内やおもてなしを通じた交流します。
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子どもたちは、このような茶園と民家一体となった美しい景観を「庭茶」と名づけ、来訪者の意見や感想をもとに、美しい風景や自然と共に味わうお茶のブランド化を考え提案していきます。
2010年からはキャノンマーケティングジャパンがこの取り組みに参加します。

期待される効果

地元のお茶のブランド化を清流宮川などの美しい里山景観と一体化して進めることができます。
また、環境保全型の茶栽培の普及によって、過疎地域における環境保全と一体化した活性化・担い手づくりのモデルとなります。
この地域では昔から宮川でとれたアユを伊勢神宮に献納していたという伝統もあり、日本の伝統文化を活かした取組も期待できます。
実際に、地元の小学校での総合学習をきっかけに、自治会と学校が一緒になって、2010年から伝統的な注連縄作りを復活する取組を開始しました。

■2014年度七保小学校4年生 地元学振り返り

■野原工房 げんき村

京都

京都ハグロトンボの道
~涼のネットワークづくりの提案~

概要 「京都だからできる涼のネットワークづくりを提案します!」

自然環境を考えるとき都市の問題は避けて通ることが出来ません。
自然と切り離された空間としての都市を、自然(生きもの)と対話する都市へ、どのようにして変容させていくのか。21世紀の地球的課題です。
わたしたちは、その取り組みのモデルとなる都市のひとつが京都だと考えます。
京都議定書が目標とする地球温暖化の防止という課題にも、自然(生きもの)と対話する都市への変容が不可欠です。自然(生きもの)と対話する都市は、温暖化防止の達成目標も単なる数値目標ではなく、具体的な生きものとの共存として示すことができます。
生きものとの対話は、都市の歴史や文化、自然特性、立地条件、コミュニティ機能等を再評価することへと導きます。生きものとの対話は、人々に豊かなイメージを与え、行動を促します。生きものとの対話は、新たな結び付きを生み、都市を活性化(内発的発展)するでしょう。

これは、今も京都市中心部で見ることができるハグロトンボをシンボルとしたネットワークづくり(自然・生きものと対話する都市づくり)の提案です。
ハグロトンボは川の中で幼虫(ヤゴ)時代を過ごし、成虫(トンボ)になると川から離れた涼しい木陰などで夏を過ごします。初秋には再び生まれ故郷の川に戻り水草に卵を産みます。
現在の京都市内でもハグロトンボを見ることができるのは、川と木陰を結ぶ涼の道がまだ残っている証拠です。ハグロトンボは涼のシンボルなのです。
現在ハグロトンボを見ることができる都市は極めてまれです。でも、わたしたちは昔の京都にはもっと広がりのある涼の道(ハグロトンボの道)があったと考えています。それは、かつて自然と対話する都市があり、涼を作り出す人々の知恵の生きた都市があったと考えるからです。
この京都で、ハグロトンボとの対話をとおして、自然と共存する都市を創り上げるための文脈を探り当てることができるのではないでしょうか。

背景 「都市の基盤となる歴史と文化、立地条件を活かす」

地球温暖化対策のための議定書が作成された京都で「自然(生きもの)と対話する都市づくり」「涼のネットワークづくり」が行なわれる意味は大きいと思います。
地球温暖化対策やヒートアイランド現象の防止のためには、個別的で部分的な取り組みでは不十分です。
それには都市全体を覆うネットワークが必要です。
さらに、そのネットワークは都市全体を自然と結びつけるものでなければなりません。

京都は緑豊かな山々(生物の供給源)に囲まれ、それらの山々から都心部へ向けて川が流れ込んでいるという立地特性と、寺社(緑地)などの空間配置(ネットワーク)という歴史的背景から、その条件に恵まれた都市といえます。
その条件を示す生物のひとつがハグロトンボです。
涼のシンボルであるハグロトンボのネットワークを復活させることは京都の歴史や文化を活かした温暖化対策となります。

目的 「地域コミュニティ活性化と連動した、“涼”の都市づくり」

人と自然のネットワークを作るためには人と人、土地と土地、人と土地を結びつける文脈づくりが必要です。
わたしたちはこの文脈づくりのシンボルとして、夏の日の涼の風景の一部として人々の記憶に刻まれているハグロトンボを提案します。

「京都ハグロトンボの道・涼のネットワークづくり案」は、ハグロトンボの道(ネットワーク)の復活をとおして、京都から「自然と共存する未来都市」のモデルを世界に発信しようというものです。
このプロジェクトは、都市全体を視野に入れた自然再生事業として位置づけることもできます。都市に自然(生きもの)のネットワークと重なり合う社会のネットワークを構築することを目標としているからです。そのためには、都市の中に新しい結び付きやつながりが求められます。
京都の土地条件や歴史的背景、文化を再評価し、新しい発想で地域コミュニティ、学校教育などをネットワーク化し活性化する取り組みが必要です。
つまり、都市の自然再生は都市の活性化にもつながるのです。 ハグロトンボの道を都市に再生するためには、緑地のネットワークだけでは不十分です。都市全体の廃熱量を抑制し温度上昇を抑えることが不可欠です。
そのためには冷房の温度設定や自動車の利用などライフスタイルの変更も求められます。
これは同時に地球温暖化の防止に都市全体で取り組むことにもつながります。
地球温暖化の防止やヒートアイランドの防止といった取り組みの達成目標はふつう数値によるもので目に見える目標を設定していません。そのことが目標を共有し取り組みを広げることを困難にしている背景にあると思います。

ハグロトンボという具体的な生物を目標として示すことで、地球温暖化防止などへの取り組みを人々がより身近に感じることができ、日常化できるのではないでしょうか。

手法 「ハグロトンボに学ぶ都市の中のネットワークづくり」

①現在のハグロトンボ分布調査(市民・観光客対象) 温度分布・風の道、環境調査の実施。
②かつてのハグロトンボ分布調査(市民対象“聞き取り”アンケート、古文書類)
③目標設定 「○○寺の庭園にハグロトンボのいる景観を再生する」
④③に沿って、○△川から○○寺までハグロトンボが移動するための道を作る。
※各学区単位における総合学習の一環として行う。
⑤子ども達と地域住民、専門化が一緒に道づくり(涼のネットワークづくり)を考える。
・例えば、学校ビオトープ、小緑地、屋上緑化、壁面緑化、ヨシズ、打ち水など。
・例えば、冷房などの排熱の抑制(生活の見直し、CO2削減計画)
・例えば、涼を作る伝統的な暮らしから学ぶ。涼を作る建築など。
・例えば、ハグロトンボの生息する川の環境改善。ハグロトンボの生息に必要な沈水植物は水の汚れに弱い。
⑥各学区(地域コミュニティ)ごとに道づくり案を作り、市内の小学校同士で報告しあう。
⑦それらの提案やデータを基に涼のネットワークづくりの提案を行なう。
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ハグロトンボとは

京都市内では都心でもハグロトンボの姿を見ることができる。
それは京都が山々に囲まれ、それらの山々から都心部に向けて川が流れ込んでいるため。川は生きものの道なのです。
都心と山々とが川で結ばれている都市のシンボル、それが ハグロトンボ 。
幼虫時期(ヤゴ)を水草のある流れの中で過ごしたハグロトンボは成虫(トンボ)になると川からいったん離れ木陰や日かげのある緑地へと移動する。
霞ヶ浦流域ではハグロトンボの移動距離は500m程度。
あまり遠くまでは飛んでいけない。涼の飛び石が必要なのです。

体のつくり

体長 7cm~9cm 全身が光沢の強い金緑色、黒い羽を持つ

生態

主に平地や丘陵地のヨシやミクリなどの抽水植物やエビモ、クロモ、セキショウモなどの沈水植物が繁茂するゆるやかな流れに生息する。
幼虫は主に流れに揺らぐ藻などの茂みで、植物につかまって生活している。

羽化

抽水植物に定位して夜半から早朝に行う。

未熟個体

羽化水域からやや離れた薄暗い林地に移って木漏れ日が差し込むような林生でしばらく生活する。
初夏の頃、神社のこんもり茂った薄暗い森影でたくさん見かけるのは全て未熟な固体である。飛翔は活発でない。

成熟個体

成熟すると水辺に戻り、比較的明るい岸辺や抽水植物あるいは沈水植物の水辺から突出した部位などに止まって縄張りを確保する。このときは飛翔も活発である。
(以上、北海道大学図書刊行会「原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑」より引用)
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茨城県牛久市で撮影

展開状況

2010年5月より、京都市立紫竹小学校が、この学習プログラムを実施しています。
今後この学習をとおして、賀茂川を軸とした未来の京都市を提案する予定です。

ハグロトンボ分布図(イメージ図)と、涼のネットワーク(イメージ図)

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松戸・川と風を感じる街づくり

松戸

松戸・川と風を感じる街づくり

地域の自治会や小学校区、商店街などによる多様なコミュニティ機能を活かした地球温暖化の防止への取り組みとして、千葉県松戸市において2009年7月よりスタートした「松戸・川と風を感じる街づくり」プロジェクト。
松戸は古くから舟運で栄え、舟運に必要な川と風が、松戸という街とその文化をつくってきたと言えます。
川と風をキーワードに、松戸を流れる坂川流域に位置する小学校の子どもたちによって、プロジェクトは展開されています!

子どもたちによる取り組み

「松戸・川と風を感じる街づくり」プロジェクトのさきがけとして、松戸市の小学校で環境学習、2回の野外観察、そして商店街の方への聞き取りを行いました。キーワードは川(清流)や木陰に涼風(川風)を求めて暮らしているハグロトンボです。

2009年7月

第1回目の授業では、生き物とお話しする方法、そして松戸に住むハグロトンボについて学びました。
ハグロトンボの話になると、家の庭や駐車場で見たと言う子も…!

8月22日

夏休みに希望者を募り開催された、野外観察には、保護者の方を含め総勢46名の方に参加していただきました。
坂川から江戸川にかけて、風船を川風の目印に「松戸たんけん隊」出発です!
坂川を橋の上からのぞくと、アユの姿が!
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そして川岸の木陰をよーく見てみると、ハグロトンボを発見!
神社や路地裏の木陰など、ハグロトンボは松戸の涼しい場所をたくさん教えてくれました。
江戸川に近づくにつれ風船も強く風に吹かれます。
きっとこの川風が松戸を涼しくしているから、たくさんのハグロトンボに出会えることができたのですね。
生きものの目線で松戸を見直すことで、たくさんの発見がありました。
特に子供たち以上に保護者の方の驚いている様子が印象的でした。

10月15日

4年生80名と一緒に再び坂川へ。
この日はハグロトンボに出会えた夏とは違い、アキアカネなど、トンボ種種類も変わり、生きものに季節の変化を実感しました。
坂川での生きもの探しでは、はじめは川の中に入るのに少し抵抗があった子ども達もいつの間にか夢中で水の中に!
今回初めて野外観察に参加した子供達も、自分達の住んでいた松戸にたくさんの自然が残っていることを感じてくれたのではないかと思います。

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12月9日

2グループに分かれて商店街をめぐり、昔の松戸について聞き取りを行いました。
今回お話を聞かせていただいたのは呉服屋、瀬戸物屋、お米屋、節句人形屋、薬局屋、天丼屋、など多種多様な職業の方々。
子ども達が直接お店に行き、昔の松戸や坂川、江戸川の様子、川風やハグロトンボについてなど、子ども達の質問を交えながら聞き取りを行いました。
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昔の坂川や江戸川にはたくさんの生きものが住んでいたこと、トンボが飛んでいて捕まえて遊んだことなど、何十年も松戸で過ごしたからこそ聞ける、大変貴重なお話ばかり。
真剣な表情で話を聞く子ども達のワークシートは、白い部分がないくらいびっしり書き込まれていました。
また、実際に明治初期より使われていた家で、風が家の中を通るように工夫された家のつくりや、間口が狭く、東西に奥行きが長い家のつくりなど、風をうまく利用した昔の人の暮らしを実感できました。

2010年1月28日

これまでの取り組みを振り返りながら、ハグロトンボ地図と風向きの地図をまとめました。
子供たちからはハグロトンボがすみやすい街になるよう、次々とアイディアが・・・!

2月8日

前回の授業ででたアイディアをまとめ、提案の中間発表を行いました。ハグロトンボの日の制定や、駅前の歩行者天国、雨水を使っての打ち水、緑のカーテンなど、大人では思いつかないユニークな提案ばかり!いよいよ次は発表です!
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2月24日

聞き取りの際に、お世話になった商店街の方も提案発表を聞きにきてくださいました。
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緊張気味の子供たちも他のの提案を聞くにつれ、それぞれの意見が飛び交いました。
また、子供たちの発表に商店街の方も非常に感心され、「これなら協力するよ!」など、今後の提案の実現にむけ大きな一歩となる発表会となりました。
子供たちはまちづくり学習を通して、松戸のよさを知り、そのよさをもっと他の人にも知ってほしいという気持ちになりました。
そのような子供たちがいることは松戸のまちづくりの大きな原動力となります。
そして、子供たちの提案を小さなことからでも実現していくことが、まつどのまちづくり、子供たちの夢の実現へとつながります。
私たち大人も、実現へのお手伝いをすることで、子供たちが描いてくれた夢に乗っかっていきたいと思います!

松戸の繁栄を支えた川と風~川風を感じるまちづくり「オハグロトンボの日」

川と風が松戸のまちをつくり、人々の暮らしや文化を育んできた。
だから、人々は川風を感じるときに、いつでも、このまちの原点に回帰することができる。
いま、環境の時代を迎えて、人々は再びまちの原点を振り返る時が来た。
再び、川と風を活かしたまちづくりに帰る時が来た。
松戸には川風を感じるまちづくりのパートナーがいる。それは、坂川や江戸川で生まれる黒くて華奢なトンボ。通称オハグロトンボ。
このトンボは暑さに弱く、街中の木陰や路地や庭などの涼しい場所を求めて暮らしている。
涼しげにひらひらと優雅に飛ぶ黒いトンボを案内人に、川風を求めて街中を歩けば、さり気なく涼しさを演出する家や店に出会い、どこか残る江戸の風情が蘇るかもしれない。
まちの小学校では、子ども達が松戸の川と風を活かしたまちづくりを考えた。
そこで、生まれたアイデアが「オハグロトンボの日」だ。
子ども達の豊かな感性に刺激された地域の大人たちが「オハグロトンボの日」制定に向けて動き出した。
涼しげな風情でひらひらと飛ぶとんぼと対話しながら進めるまちづくりが始まる。

2010年4月8日  アサザ基金 飯島 博

ハグロトンボの日のはっつぁん

「おっ、はっつぁん。暑い日に打ち水とはありがたいね。」
「おい、くま。お前オハグロトンボってぇのを知ってるか。」
「何だ!そのオハグロてぇのは、お歯黒のことか。」
「違うよ。涼しげな風情でひらひらと飛ぶ黒くて華奢なとんぼのことさ。」
「へぇー。だからどうしたってんだ?」
「だから、打ち水してんだよ。こうしてやると、涼しげでひらひらしたのがやって来るんだ。」
「すると・・、そりゃどういうことなんだ。」
「オハグロトンボは、涼しい川風に乗って、ひらひら飛びながら街中の涼しい所を探しながら暮らしているんだ。だから、こうやって打ち水をして涼しい場所を作っているのさ。」
「そりゃいい!涼しげな風情のひらひらが松戸の街中に増えれば、わしら人間様もありがたいってわけだ。おや、そういえば、あっちでもこっちでも打ち水してるな。」
「くま、知らないのか。今日は子ども等の提案でハグロトンボの日になったんだ。だから、街中で打ち水やったり、車やクーラーを止めたりして、松戸を涼しくしているんだよ。」
「よしゃ!わかった。打ち水しておれの宅の庭にも、涼しげな風情のひらひらを呼ぶとするか。」

東京

東京

NECキャピタルソリューション協働  『わくわく子どもの池プロジェクト』
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NECキャピタルソリューションと協働の『わくわく子どもの池プロジェクト』は、『霞ヶ浦から生きものを呼ぼう、霞ヶ浦と東京を生きものの道でつなごう』という、子どもたちの夢の実現を支援するものです。
東京都内の学校や、北九州、金沢などの幼稚園、小学校でビオトープを作っています。
ビオトープという“場”が生まれることで、子どもたちが様々な生きもの、様々な人と出会い、夢を共有、実現させていくことを期待しています。

原宿・表参道 『森の恵・森の風プロジェクト』
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原宿・表参道『森の恵み・森の風プロジェクト』は、表参道にエコロジカルネットワークの起点としての新しいブランド価値を創出することを目指すプロジェクトです。
大都会の中心で、明治神宮の大きな森から街に流れ込む涼風や、都市に広がろうとする生き物の道があることに気付くことができる場。
原宿・表参道を訪れる多くの人に神宮の森の恵みを感じてもらい、その価値を共有してもらうことで、都市に新たな文脈(物語)を創り上げるための様々な社会実験を行おうと考えています。

北九州

北九州

環境都市として知られる北九州市では、2008年からアサザプロジェクトをモデルにした環境学習が進められています。
湯川小学校では、2008年から5年生の皆さん(90名)が北九州市の特色(良さ)を活かした未来の都市づくりをテーマに学習を進めてきました。
ビオトープ作りや地域の環境調査、お年寄りからの聞き取りなどを重ねながら、100万人都市の中心部にもまだ生息していることが分かったハグロトンボを、涼のシンボルとする未来の環境都市作りの提案をまとめていきました。

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また、2009年になってから同様の授業を市内を流れる紫川の上流にある市丸小学校と下流部にある清水小学校でも行っています。
湯川小学校は紫川の中流部に近いことから、3校が連携して流域レベルでの学習へと展開する可能性も見えてきました。

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湯川小学校の子ども達は、2009年の6月に市内で開催された市主催の環境シンポジウムで多くの大人たちを前に、ハグロトンボを指標とした新たな都市作りに向けた市民へのアンケート調査を提案しました。

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子ども達の郷土への思いと発表内容のレベルの高さは、大人たちに大きな刺激を与えたようです。
その後、市では湯川小学校の子ども達の提案を受け、この夏から市民に呼び掛けハグロトンボをはじめとしたトンボの生息情報に関するアンケート調査を開始しました。

紫川を軸に環境都市の担い手を育てる環境学習プログラム

学習の目的

北九州市を流れる代表的な河川である紫川に生息する生物の観察をとおして、まちの特色や良さ、可能性を知る。生き物の目(他者の視点)になって、普段見慣れたまちの風景を見直してみることで、様々な発見を促します。
紫川の学習をとおして、地域の特色や良さを活かしたまちづくりを考え、未来に展望をもち前向きな提案をできる力(生きる力)を育てます。我がまちに誇りを持てるようになります。

学習の進め方

「川をとおした地域間のつながりに気付く。」
自然が少なくなった都市部にも、自然の豊かな上流部から様々な生き物が紫川をとおして供給されていることを知る。川は生き物の道。
地図や衛星画像を使って、北九州市全体のつながりを考える。

「昔と今をくらべ、違いに気付く。」(世代間交流)
昔のまち(学区内)には、どこにどんな生き物が見られたかをお年寄りなどから聞き取り、現在の生き物の分布と比較してみることで、まちの環境の変化を知ることと同時に、昔のように生き物たちのすみかを増やしていきたいという目標を持つ。
過去の記録から地域の持つ潜在的な豊かさ(かつての豊かさ)を知る。

「深める。上流と下流の学校間の交流」
かつて下流部にも生息していた生き物たちが紫川上流部に生息していることを知る。
紫川をとおして、再びまちに豊かな自然を取り戻すことが可能であると感じ、未来に展望を持つことができる。

「環境都市北九州市の未来を考え提案する。」
地球温暖化やヒートアイランド、水質汚濁などの環境問題への解決策をそれぞれ個別に考えるのではなく、紫川をとおして学んだ生き物や自然のつながり(まちの特色や良さ)を活かした未来のまちづくりとして総合化して提案する。

「問題解決能力・生きる力」
地域の課題や問題に対して前向きに価値創造的に取組む力を身につける。
紫川の自然を活かした具体的なまちの未来図を描いてみる。
様々な提案を自ら考え発表する。

「紫川に生息するハグロトンボを教材とした学習の例」
紫川上流部に多く生息するハグロトンボは、現在下流の都市部でも少数ではあるが確認することができる(全国の他の大都市ではほとんど見られなくなっているトンボである)。
ハグロトンボはきれいな水が流れる川に生息するトンボで、このトンボが現在下流に生息することは、紫川の水質浄化の取組みの成果として見ることができる。
また、ハグロトンボは暑さに弱く川周辺の涼風や木陰が在る場所を探して生息する。ハグロトンボの移動にはそれらが線状または飛び石状に配置されていることが必要となる。
聞き取りなどから過去と現在のハグロトンボの分布の比較をすることで、まち全体の涼しさの変化を知ることができる。(ハグロトンボは黒いという特色があり他に似たトンボが少なく昔から人々に親しまれてきたことなどから見分けやすく聞き取りの対象にしやすい。)
川風や海風、緑地等が涼しさを生み出す要素として考えられるので、それらの分布を過去と現在でくらべ、ハグロトンボの分布図と重ね合わせてみる。

上述したようなハグロトンボの生息に必要な環境要素は、環境都市北九州市が取り組む「河川の水質保全」や「脱温暖化」「ヒートアイランド防止」などの目標に一致する。また、最近注目されている「生物多様性の保全」と一致する指標種でもある。

具体的な生物の視点で考えることで、多様な課題をつなげることができる(総合化)。
環境都市の実現に向けて、生徒達がハグロトンボの生息地を広げるために、どのような取組みをすればいいのかを総合的に考え、未来のまちづくり案として提案する。
例えば、緑地や水辺(ビオトープ)を増やす、屋上緑化、緑のカーテン、ヨシズ、打ち水作戦、エアコンや自動車をなるべく使わない、省エネ、水質浄化、川の自然再生など。
また、上流部では、北九州市全体に、紫川をとおして生物を供給することができる源として地元を位置付け、自分たちの地域の自然をより豊かにすることを考え提案する。例えば、環境保全型農業の推進や森林の保全活動、川の水質浄化、自然再生、上下流の交流など。

ハグロトンボ以外にも他の多くの生物を対象にすることで、紫川の上流下流それぞれの地域の特色を理解し、市全体を視野に入れた環境学習を進めていくことができる。

2010年3月17日
NPO法人アサザ基金 代表理事  飯島 博

秋田

おかえり八郎太郎プロジェクトとは?

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秋田県八郎潟(はちろうがた)では、地域で伝承されてきた物語の力を生かした伝説の竜を呼び戻す『おかえり八郎太郎物語』を軸に、八郎潟の環境再生と地域活性化が一体化した「持続可能社会モデルの構築」と「未来を担う子どもたちの人材育成」を目指すプロジェクトを行っています!
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プロジェクトの舞台は、秋田県・男鹿半島の付け根に位置する八郎潟です。
八郎潟はかつて、日本に2番目に大きな豊かな潟湖でした。
東西約12km南北約27kmに広がる汽水湖で、平均水深は3m・最深部でも4~5mと非常に浅いことが特徴です。
水は透きとおって美しく、モグ(沈水植物)が潟全体に生え、そこにはさまざまな生きものが暮らしていました。
モグは、乾燥させたものが生活用品や肥料などに使われ、大正期には採取量が年間5万4000トンあったと記録があります。
これは全国一の出荷量でした。
「水一升魚五合」と言われるほどシジミやワカサギなどがとれ、八郎潟の佃煮は名産として県外に出荷され評判でした。
ワカサギ漁につかった「打瀬(うたせ)船」は霞ヶ浦から伝わったもので、広く浅く海の近くにある湖ということも霞ヶ浦とよく似た湖です。
周辺に暮らす人々は八郎潟を「わが湖」と表すほど潟を身近に感じ、誇りにし、大切にしていました。
八郎潟には、昔から地域の人の間で語り継がれてきた伝説の竜・八郎太郎が主人公の物語『八郎太郎物語』 があります。
地域の人は竜を通して、潟と人、生きもの、天候や山・川などの自然、田沢湖や十和田湖など他の湖などさまざまなつながりを感じながら暮らしてきました。

昭和32年に戦後の農業近代化の象徴である干拓事業が行われ、岸が護岸され、防潮水門が閉鎖され海とのつながりが絶たれ淡水湖になりました。
それに伴い年々水質が悪化。最近はアオコが大発生するなどの問題を抱えています。
「ブラックバスの聖地」と言われるほど外来魚も増え、生物多様性も低下、モグやシジミもほぼ絶滅し、人々が寄りつかない潟になってしまいました。
八郎太郎物語では「八郎太郎は干拓後、潟からいなくなってしまった」と伝えられ、物語も地域では語られることが少なくなっています。
また、秋田では少子高齢化が進み、地域活性化と未来を担う人材育成が大きな課題となっています。
八郎潟を再生するためには、地域の人々(特に未来を担う若者や子どもたち)が忘れられつつある地域の特徴や魅力を掘り起し、それを最大限生かしながら地域に新たな文脈(物語)を生み出していくことが必要です。

「八郎太郎物語はかつて竜が暮らしていた頃の物語、でもこれからは、みんなで竜が八郎潟に帰ってくる『新しい八郎太郎物語』を作ろう!」と、2004年から秋田県秋田地域振興局とアサザ基金が協働で、『おかえり八郎太郎物語』を軸にした八郎潟再生事業がはじまりました。
この事業では、霞ヶ浦のアサザプロジェクトをモデルにしたさまざまな取り組みを行ってきました。
八郎太郎を呼び戻すことは、八郎潟流域全体で失われつつあった自然や地域のつながりを取り戻していくことと重なります。
この物語の作り手であり登場人物は、地域の人ひとりひとりです。特に、地域の子どもたちの環境学習が中心となって動いていきます。
八郎太郎を呼び戻す(八郎潟再生)ためには、想像力にあふれた子どもたちから生み出される既存の社会の枠組みにとらわれない自由な発想で事業を起こしていくことが必要です。
子どもたちが学習を通して地域の宝物を掘り起し、夢や可能性を地域の人々が共有し合うことで、行政や他人任せではなく地域の人ひとりひとりが協力しあいながら八郎潟全体で失われつつあったつながり(ネットワーク)を取り戻し、物語を自分たちの手で紡いでいきます。

この物語には、江戸~大正にかけて貧農村救済のために尽力した秋田の老農・石川理紀之助翁の精神を、現代版に読み替え活かしていきます。
理紀之助翁は八郎潟近くの山田村(現潟上市昭和豊川山田)出身で、「経済は人にありて法にあらず」「寝てゐて人を起こすこと勿れ」という考えのもと、農村改革と地域の自立、人材育成を目的に、行政に頼らず自分が率先して行動し続けた人です。
理紀之助翁が行った偉業の一つに『適産調べ』があります。
これは「調査は即実践であり、即教育の場であり、人物養成―農村教育」という大目的のもと、地域の若者と農村を隅々まで調査し、地域資源を掘りおこし、その地域資源を活かしたこれからの農村経営計画を作り実施していくことで、農村の未来を担うリーダーを育成していくものです。
この適産調べを現代に読み替え、地域の子どもたちが八郎潟流域の調査をおこない、この調査を通して八郎潟再生計画(八郎太郎を呼び戻す物語づくり)を立て実践していく『子ども適産調べ』を行います。
『子ども適産調べ』を通して、子どもたちを地域の未来を担うリーダーとなる人材に育てていきます。
子どもたちが地域資源を生かす方法を学習することで、将来地域で自ら事業を興す人を増やし、県外への人口流出を防いでいくことにもつながります。

秋田県の八郎湖では、<おかえり八郎太郎物語>が広がり、人々が動き始めています。
これまでにのべ1万人以上の子どもたちへの小中学校の環境学習をはじめ、アサザプロジェクトをモデルにした魚粉事業や湖岸の植生帯再生事業、水源地保全事業、流域ブランドの創出など行っています。

子どもたちによる八郎湖流域ブランドを提案
秋田の子どもたちによる八郎潟流域ブランド創出の試みも始まっています。
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潟上市立大久保小学校(現大豊小学校)の4年生の子どもたち(70名)と、2008年の2学期からブランドづくりの総合学習を始め、3学期までに何度も議論を重ねながらようやく皆のアイデアや想いを溶け込ませたデザインが出来上がりました。
この授業は毎回「企画会議」という名称で呼ばれ、毎回県の職員も参加して、生徒たち全員には「企画委員」の名札が配られ、教室には「企画室」と書いた紙が貼られました。
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子ども達から出された様々なアイデアをひとつにまとめていく作業は困難を極めました。
しかし、「多数決はしない」という皆の意見を基に毎回徹底的に議論をする中で、違いを乗り越える全く新しい発想やアイデアが必ず飛び出してきました。
このような形で作業が進められていく様子を目の当たりにして、違いを飲み込みながら融合していく子ども達の想像力の豊かさに、改めて感心させられました。
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5・6年生になった子どもたちは地元の特産である八郎潟産の佃煮にブランドシールを貼ってもらえるよう佃煮屋さんと交渉し、6年生の冬、ブランドシールを貼った佃煮が佃煮屋さんの店頭や道の駅に並びました。
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2012年には、東京のJR上野駅でも八郎潟を大切に思う方々が作った農産物にシールを貼って販売しました。
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<おかえり八郎太郎物語>が地域を超え八郎潟と都会の人々の心をつなぎ、活動の輪が少しずつ広がっています。

このような取り組みを通して八郎湖流域では、地域に新しい価値を創造し起業する力を持つ担い手づくりが着実に進んでいます。
実際に、プロジェクトに参加した子どもたちからは、「大人になったら秋田に残って社長になって自分で事業を興し、八郎湖を再生していきたい」という声も出ています。
(のものパンフレットPDF)

今後も、若者と子どもたち、お年寄りの協働事業など、これまでの取り組みをもとにさらに発展した活動を行っていく予定です。

みんなでつくるおかえり八郎太郎プロジェクトの特徴・意義

・地域に伝わる「物語」を軸にしたプロジェクトです。
地域の自然観や歴史などがつまっている「八郎太郎物語」を軸にして進めていくことで、たくさんの人の共感を呼び、プロジェクトを進めていきます。
・地域の大人・若者と子どもたちが主役です。
行政主体で進められることが多い自然再生事業ですが、八郎潟流域では地域の子どもや大人の想いや願いをもとにプロジェクトを進めていきます。
・水源地~田~川~まち~湖の流域全体での取り組みです。
八郎潟の水源地~潟までの流域全体で自然再生をしていくことができます。
・世界一高齢化が進むエリアである秋田県で行う地域活性化と環境保全と一体化した取り組みです。

おかえり八郎太郎プロジェクトの効果

・八郎潟の流域全体で行う自然再生・生物多様性保全
・地域活性化・地域ブランドの構築
・未来を担う子どもたちや若者の人材育成

おかえり八郎太郎プロジェクトの活動内容

・環境教育(子ども適産調べ)
・地域の若者との協働
・都会でのマルシェ開催

おかえり八郎太郎プロジェクトの位置づけ

●地域活性化…少子高齢化が進む地方に根ざした子どもたちが地域の特色を熟知し、地域に新たなつながりを生み出し、中央の発想に依存しない独自の発想で地域に新しい物語を生み出していくことができる人材育成をしていきます。
●環境教育…単に自然の知識を植えつけるのではなく、その土地に眠る物語(文脈・つながり)を読み取る力を養い、地域の価値を再発見していく学習を八郎湖再生という困難な課題を学習題材に行っていくことで、将来さまざまな問題に立ち向かっていく力・意欲を育みます。
●社会を変える…世界で最も少子高齢化が進む秋田県で、環境再生を軸に地域に眠る資源や人材を最大限に活かして地域に新しい価値を生み出していく事業を自ら興すことができる人材を育成していくことで、人口流出を食い止め、中央依存の社会から脱却し地方が自立・発展していくこれからの地域社会のモデルを作ります。
●企業との協働…このプロジェクトを通して浮上してくる地域の価値や文脈を企業のビジネスモデル(独自性)に浸透させ、秋田から全国へブランド化した商品やビジネスモデルを発信し、ヒト・モノ・カネのダイナミックな動きをつくり出していきます。
●循環型社会……八郎潟流域(森~川~町~湖)の水循環と生態系をベースに、流域内の地域資源を活かした新たな循環型の取り組みを生み出していきます。
●自然再生・生物多様性…八郎潟流域全体を視野に入れた生態系保全を目標に、自然のつながりを取り戻していく社会システムの構築し、人材育成・地域ブランドの創出を進めていきます。