アサザプロジェクト物語

kero1.ひとつの花との出会い

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アサザプロジェクトは、かすみがうらに咲いていたアサザという小さな花が、人々にあたえてくれた夢と勇気からはじまりました。
アサザは春から秋まで、かすみがうらの水面にハートの形をした葉をたくさんうかべて、黄色いかわいい花をいっぱい咲かせます。
アサザが満開になると、とてもきれいです。でも、アサザは湖のかんきょうが悪くなってから、とても減っていました。
1993年ころ、わたしは10人くらいの子どもたちといっしょに、かすみがうらのまわりを歩きながら調べていました。
そのときに、ぐうぜん満開のアサザにであったのです。
わたしたちは、その日の朝から何時間も歩いてとてもつかれていましたが、美しいアサザのお花畑を見たら、つかれていたことをすっかり忘れてしまいました。
わたしたちは、その場にしゃがみこんでアサザの花が咲くかすみがうらをながめていました。
そのとき、わたしたちはアサザから大切なことを教えてもらいました。
アサザがわたしたちに教えてくれたこと、それは、かすみがうらの自然が今もよみがえろうとしているということです。

kero2.かすみがうらの水がよごれ自然がへってしまい、みんながあきらめかけていた。

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かすみがうらは、日本で二番目に大きなみずうみです。
50年くらい前までは、かすみがうらには豊かな自然があって水もきれいでした。
魚が日本で一ばんとれる湖でした。
ところが、人間がよごれた水をたくさん湖に流すようになったり、ごがん工事をしてみずべの自然をこわしたり、湖と海の間にぎゃく水門というものを作ってしめてしまったりしたことで、どんどん水がよごれていき自然もへってしまいました。
一度、自然をこわしたり水をよごしたりしてしまった大きな湖を、もう一度もとにもどすのはたいへんです。
それでも、湖のまわりの人々は何十年もの間、湖の水をきれいしようとがんばってきましたが、水はなかなかきれいにはなりませんでした。
お金もたくさん使いました。いろいろなことをやってみました。でも、うまくいきません。

kero3.子どもたちが湖ではじめた宝さがし

もう何をやっても、かすみがうらのかんきょうは良くならないとみんなが思い始めていました。
みんながあきらめかけていた時に、わたしたちはもう一度かすみがうらを自分たちの目で見つめ直してみようと思い、湖のまわりを歩いて一周することにしました。
かすみがうらをもっと良く見てまわることで、わたしたち人間が湖のために何をすればいいのかを、湖がおしえてくれると思ったからです。
かすみがうらのまわりは、歩くと250キロメートルもあります。
かすみがうらはまわりの長さが日本一ながい湖なのです。
それまで、歩いてかすみがうらのまわりを一周した人はだれもいなかったのです。

しぜんは全体を見ようとしないとわかりません。
多くの人たち(とくに大人)は、しぜんの一部分だけ見て、全体をみようとしません。
これでは、しぜんの中にあるつながりが見えてきません。
かすみがうらのしぜんも同じです。まず、湖の全体を見て感じることが大切です。
danmens

「歩いてみよう!」とよびかけたところ、さいしょに手をあげてくれたのは、小学生や中学生たちでした。
大人で協力してくれる人はほとんどいませんでした。
毎週休みの日をりようして、わたしは十人くらいの子どもたちと朝早くから夕方まで、かすみがうらのまわりを何十キロメートルも歩いてしらべました。
一周するのに、何日もかかりました。
春、夏、秋、冬と歩いたので、けっきょく4周しました。
ぜんぶで1000キロメートルも歩きました。

夏はあつく、冬はさむく、とてもたいへんな調査でしたが、まいかい何人もの子どもたちがさんかしてくれました。
子どもたちは、湖を歩くたびにまいかい発見があってたのしいと言ってくれました。
それに、子どもたちが調べると大人たちでは気づかないものがたくさん見つかりました。
トンボや鳥や小さな魚や水草など、子どもたちがさがすとつぎつぎと生き物が見つかったのです。
sginyanma   アマガエル

子どもたちは大人たちのように、かすみがうらは何をしても良くならないなどと、あきらめていなかったのです。
子どもたちは、いっしょうけんめいに湖を見るので、大人が見おとしてしまうような小さな生き物たちのすみかを見つけることができたのです。
そして、湖のところどころでがんばって生きている生き物たちがいるということに気づくことができたのです。

子どもたちは、これらの生き物たちが、いつかきっと湖に自然がよみがえり、昔のようにすみかが広がる時が来ることを信じてまっているように感じたのです。
そして、もっと多くの生き物たちの声を聞いて、生き物たちが生きていくのに必要なかんきょうを湖の中に増やしていけば、湖に生き物もしぜんもとりもどしていくこともできるかもしれない。
子どもたちは、そう思うようになってきました。

kero4.アサザが教えてくれたこと

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そのような時に、わたしたちはアサザと出会いました。
アサザの美しいお花畑の中には、たくさんの生き物がいました。
トンボやチョウ、鳥、魚が、アサザに集まっていました。
このようにアサザなどの昔からかすみがうらに生えていた水草が生えている場所をふやしていけば、多くの生き物たちがかすみがうらにもどって来てくれるのでは!
そして、昔のように多くの生き物たちが集まるすみかができれば、生き物たちの力でよごれた水もきれいになるかもしれない!
みんながきょうりょくし合えばきっとできる!
そのような夢とゆうきを、アサザのお花畑がわたしたちにあたえてくれたのです。
その時から、アサザプロジェクトははじまったのです。
アサザが、みんなに夢とゆうきとやる気をあたえてくれたので、アサザプロジェクトという名前になりました。
(だから、アサザだけをふやすかつどうではありません。)

かすみがうらは、水がよごれてしまってからは「アオコの湖」とよばれるようになっていました。
アオコは水がよごれると大発生するしょくぶつプランクトンの一種です。
でも、このアオコだけをへらしても湖のかんきょうはよくなりません。
かすみがうらの悪いところばかりを見るのではなく、良いところを見つけてふやしていくことができれば、かすみがうらはきっとよみがえるということをアサザがおしえてくれたのです。
アサザが、みんなの考え方やかすみがうらの見かたを変えてくれたのです。

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アサザプロジェクト物語1
1.ひとつの花との出会い
2.かすみがうらの水がよごれ自然がへってしまい、みんながあきらめかけていた。
3.子どもたちが湖ではじめた宝さがし
4.アサザが教えてくれたこと

アサザプロジェクト物語2
5.まず、アサザを絶滅のききからすくおう!
6.たくさんの人々がさんかして、きょうりょくの輪がひろがっていきました
7.生き物とお話するほうほうの学習からまちづくり学習へ

アサザプロジェクト物語3
8.かすみがうらに流れていく水が生まれるところ・谷津田(やつた)を守る
9.子どもたちが大人を動かす。社会をかえる
10.どんどん広がるアサザの夢
11.かすみがうらから世界へとひろがる夢。アサザプロジェクトの物語
12.すぐ近くにねむっている宝物を見つけ出して、君の物語をはじめよう

 
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