5.まず、アサザを絶滅のききからすくおう!
わたしたちに夢とゆうきをくれたアサザは、かすみがうらの他の生き物たちと同じように人間がかんきょうを悪くしたことが原因で減っていました。
毎年どんどん減っていて、このままではアサザは絶滅してしまうおそれがありました。
でも、そのことに気がついている人はほとんどいませんでした。
しらべてみると、アサザは日本中で減っていることがわかりました。
しかも、かすみがうらは日本で一番たくさんのアサザが残っている場所だということもわかりました。
わたしたちが、かすみがうらのアサザを守ることをできなければ、しょうらい日本からアサザがなくなってしまうかもしれないのです。
たいへんなことです。
わたしたちは、アサザがなぜこんなに減ってしまったのか、その原因をしらべました。
アサザが減った原因は、いくつかありますが、すべて人間が原因です。
アサザのたねはヨシ原で芽を出します。
ところが、人間がコンクリートのていぼうを湖につくったので、工事でヨシ原の多くがこわされてしまい、アサザの種は芽を出す場所をうばわれてしまったのです。
かすみがうらのアサザは毎年たくさんの花をさかせ多くの種をつくっていましたが、コンクリートごがんが作られてからは何十年も種が芽を出すことができないことも分かったのです。
このまま種からふえることができないとアサザはぜつめつしてしまいます。
アサザをぜつめつのききから救おうと、みんなでアサザの種を集めてプランターにまいて芽を出させ育てることにしました。
そして、みんなで大きく育てたアサザを湖に植えていこうということになったのです。
じつは、コンクリートごがんができて、こまっている生き物はアサザだけではなかったのです。
他の水草や魚やトンボ、カエルなど・・・・いっぱいいます。
アサザが困っている理由を多くの人が知ることで、かすみがうらの他の水草や生き物たちがこまっている理由もわかってもらえます。
アサザをきっかけに多くの人たちが、かすみがうらの生き物たちに関心をもつようになってもらい、生き物たちのために何をしたらいいかを考えてもらうことができれないいと思いました。
6.たくさんの人々がさんかして、きょうりょくの輪がひろがっていきました
1995年に、アサザを種から育ててくれるボランティアをぼしゅうしました。
さいしょは200人くらいが協力してくれました。
その中に、小学生や中学生も多くいました。
その子たちの何人かが、アサザの種を学校に持っていって先生や校長先生に協力をしてほしいとたのんでくれました。
そうしたら、いくつかの学校が生徒や先生みんなでアサザを育ててくれることになったのです。
そのほかにも、会社の人たちや市民の人たちが協力してくれるようになりました。
それまで、かすみがうらに関心のなかった人たちもたくさんさんかしてくれるようになりました。
そのつぎの年には、さんかしゃは千人以上になりました。
その後も毎年さんかする人が増え続けて1万人いじょうになりました。
100をこえる小中学校もさんかしてくれました。
かすみがうらの周りに住んでいた多くの人たちが、アサザをすくいたい、かすみがうらの自然をよみがえらせたいというおもいから協力をしてくれたのです。
そして、毎年多くの人たちが自分たちで育てたアサザを湖に植えるようになりました。
アサザだけではなく、アサザの種が芽を出すのにひつようなヨシ原をつくる活動もはじめました。
湖に入ってアサザやヨシを植えるかつどうを湖に入ってさいしょにやったのも、子どもたちでした。
湖でがんばってかつどういている子どもたちのすがたを見て、多くの大人たちがきょうりょくするようになったのです。
今では、学校のこうていにビオトープという池を作って、アサザなどの昔のかすみがうらに生えていた水草を育ててくれる学校も100以上あります。
7.生き物とお話するほうほうの学習からまちづくり学習へ
かすみがうらはとても大きな湖です。
そして、かすみがうらのまわり(りゅういき)には21もの市や町や村があります。
湖のすぐ近くにある学校もあれば、湖から車で1時間以上も離れたところにある学校もあります。
それでも、それらの学校にふった雨は、みんなかすみがうらに流れていきます。学校や家で使った水も、かすみがうらに流れていきます。
多くのひとたちが水でかすみがうらとつながっているのですね。
かすみがうらとつながっているのは水だけではありません。
学校や家のまわりの森や田んぼや川、それらの生き物たちのすみかも、かすみがうらとつながっているのです。
ウナギやトンボや鳥などが、みんなの住んでいるところと湖を行ったり来たりしています。
つまり、湖とみんなのまちは、生き物たちの道でつながっているのです。
つまり、じぶんたちが住んでいる地元の水や自然を大切にして守っていかないと、かすみがうらの水をきれいにしたり豊かなしぜんをとりもどしたりできないということです。
でも、多くの人たちが、かすみがうらと自分を結ぶつながりがあることを忘れているのです。
アサザプロジェクトのアサザを守るかつどうにさんかした多くの学校では、かすみがうらを守るためにじぶんたちの地元のかんきょうをよくするかつどうを始めました。
子どもたちによるまちづくり学習のはじまりです。
この学習は「生き物とお話しするほうほう」の授業から始ります。
この授業をうけたことがある人もいるでしょう。
うけたことがある人はおぼえていますか、生き物とお話しできるようになるには、生き物の「からだのつくり」、「すみか」、「くらし」をよくかんさつし、その三つのつながりを考えることでしたね。
まだ、授業をうけたことのないひとは、このホームページの中の「生き物とお話しするほうほう」を読んでみてください。
生き物とお話ができるようになるとたのしいよ。
生き物たちとお話ができるようになった子どもたちは、生き物たちから身近なかんきょうについていろいろなことを教えてもらえるようになります。生き物たち がみんなのまちを、どのように見て感じているかもわかってきます。それと同時に、生き物たちがいろいろな場所でこまっていることも分かってきます。それら は、わたしたち人間がふだん気づかないことばかりです。
たとえば、川や池の水がよごれていること。森がへっていること。森や田んぼが荒れていること。
とくに、かすみがうらの水源になっている谷津田(やつた)とよばれる場所がどこでも荒れていることを知ることができます。
アサザプロジェクト物語1
1.ひとつの花との出会い
2.かすみがうらの水がよごれ自然がへってしまい、みんながあきらめかけていた。
3.子どもたちが湖ではじめた宝さがし
4.アサザが教えてくれたこと
アサザプロジェクト物語2
5.まず、アサザを絶滅のききからすくおう!
6.たくさんの人々がさんかして、きょうりょくの輪がひろがっていきました
7.生き物とお話するほうほうの学習からまちづくり学習へ
アサザプロジェクト物語3
8.かすみがうらに流れていく水が生まれるところ・谷津田(やつた)を守る
9.子どもたちが大人を動かす。社会をかえる
10.どんどん広がるアサザの夢
11.かすみがうらから世界へとひろがる夢。アサザプロジェクトの物語
12.すぐ近くにねむっている宝物を見つけ出して、君の物語をはじめよう