よくある質問

よくある質問







 もくじ

 ・アサザプロジェクトのこと

 ・なぜ、アサザをシンボルにしているんですか?

 ・アサザを植えると湖の水質が改善されるのですか?

 ・アサザの植付けはどのように行っているんですか?

 ・NPO法人アサザ基金のこと

 ・湖や流域のこと

 ・アサザ群落の分布について教えてください

 ・粗朶消波施設の設置について教えてください

 ・参加・協力に関して

 ・その他








アサザプロジェクトのこと


どのような活動をしているんですか?


「アサザプロジェクト」は、霞ヶ浦の流域の自然再生事業であると同時に、地域振興や地域ぐるみの環境学習プログラムとしても機能しています。子供たちと一緒に湖の自然再生や流域のまちづくり提案を行うほか、企業や研究機関、行政と共同で様々な事業を展開し、流域にひろがるビジネスモデルをつくっています。詳しくは→活動紹介のページをご覧ください。




どのような人が参加しているんですか?


アサザプロジェクトは、市民団体や学校、企業、農林水産業、研究機関、行政など様々な立場の人の協働で進められています。
これまでに、のべ20万人の市民と、200をこえる小学校が参加しています。
自然と共存する社会の構築を目指すときに重要な役割を担うのが市民活動(NPO)です。なぜなら、それらのネットワークの構築には、縦割り化した行政施策や社会分野間をつなぎ、生活者の視点から地域を総合化する市民活動(NPO)が不可欠となるからです。
アサザ基金は、上記の戦略に基づいて霞ヶ浦の流域に自然と共存する循環型社会を構築するための取組み「湖と森と人を結ぶ霞ヶ浦再生事業・アサザプロジェクト」を、1995年から開始しました。
霞ヶ浦・北浦流域の学校・研究者、事業者、行政が参加する市民主導型の協働プロジェクトによって、流域に循環型の社会システムを実現。環境教育や社会的企業を組み込んだ循環型、ネットワーク型、かつ持続的な市民型公共事業によって、流域の自然・文化・産業を再生・創造します。アサザプロジェクトの活動には、約20万人以上の市民が参加しています。





アサザプロジェクトの目標は何ですか?


100年後に野生復帰したトキが霞ヶ浦の湖面に舞う。そのような霞ヶ浦・北浦流域の自然と人間が共生する未来がアサザプロジェクトの夢であり、目標です。
アサザプロジェクトでは、霞ヶ浦湖岸の再生から始まり、流域にある水源地などへ自然の連続性が広がっていくことで見られるようになる鳥を用いて100年計画図を描いています。
→アサザプロジェクトの100年計画のページへリンク




アサザってどんな植物なんですか?


アサザとは、ミツガシワ科アサザ属に属する多年性の水草(浮葉植物)で、水面に手のひらくらいの大きさのハート型の葉を浮かべます。夏から秋にかけて水面に黄色い花をつぎつぎに咲かせます。アサザは湖岸から沖に向かって水面の広い範囲に浮葉を広げるので、アサザの群落が波を和らげ、岸辺のヨシ原などの植生帯を守るはたらきがあります。
かつては日本中の湖や沼でみられましたが、現在は水辺のコンクリート護岸、水質悪化の影響で、絶滅の恐れがあるといわれています。




なぜ、アサザをシンボルにしているんですか?


アサザプロジェクトは、アサザをただ増やすことや、アサザで水質を浄化することを目的とした運動ではありません。アサザをプロジェクトのシンボルにした理由は以下のように多岐にわたります。



1.アサザとの出会いから始まったプロジェクトだからです。

2.自然の働きを活かした湖の再生を考えるきっかけを作ってくれたからです。

3.アサザの生態が湖の水位管理や護岸の問題を明らかにするからです。

4.人々が直接湖に関わるきっかけとして。

5.環境教育の導入として。

6.個別縦割り型の発想から抜け出せない研究者や専門家に発想の転換を促す。

→続きを読む




アサザを植えると湖の水質が改善されるのですか?


アサザプロジェクトは、アサザで水質浄化を行なう運動ではありません。
このプロジェクトは、1995年に霞ヶ浦・北浦で絶滅に瀕している水草アサザを再生する取組みをきっかけに始まり、湖と流域を被う多様な取組みへと展開していきました。アサザの再生事業は、人々が湖の生態系の一員であるアサザが置かれている現状(絶滅のおそれがある状況)を知ることで、湖の環境を生物の視点で考え、環境の改善に向けた具体的な働きかけにつながる活動への入り口として位置付けています。したがって、この活動は元々アサザの保護だけを目的化した自己完結型の取り組みではありません。このホームページを見ていただいてお分かりのとおり、多様な取組みへとつながっていきます。環境学習もこのような位置付けで行なっています。また、アサザの再生(植え付け)についてもかつてアサザ群落があった場所を原則に民間ボランティアで現在実施しています。(一部に、「むやみやたらと湖にアサザを植えている」といった誤解を与えるための情報が流されていますが、それらはまったく事実に反したものです。)
アサザプロジェクトでは、アサザを植生帯(多様な在来水草によって構成)の一員として捉え、湖本来の植生帯の再生を目指して取組んでいます。したがって、湖の水質改善効果についても、植生帯とそこに生息する動物や微生物等を含む生態系をトータルに考えて、その水質浄化効果を期待しております。それゆえ、アサザという一種類の水草による水質浄化を期待して実施しているものではありません。(一部にアサザプロジェクトはアサザによって湖の水質を浄化する運動、むやみにアサザを植える運動と決めつけた、誤った情報が意図的にネット上などに流されていますが、霞ヶ浦再生事業や関連研究の健全な発展を阻害するものであり、たいへん残念なことです。)
また、アサザと水質に関して、一部に「アサザが水質を悪化させる」等の批判がありますが、先述したようにアサザプロジェクトは湖の植生帯全体の再生をめざしており、個々の水草を抽出して、個別に水質浄化効果を評価するという発想はありません。このような 個別科学的(縦割り)な発想では、種間の相互作用や多様な種によって構成された植生帯全体の効果を評価することができません。たとえば、個別に種(ある水草)を抽出して特定の条件で調査をすれば、アサザ以外の他の水草でも「水質を悪化させる」と主張することは可能です。このような個別縦割り的な発想こそが、霞ヶ浦を破壊した原因である、というのが私たちの考えです。ホテイアオイなどを利用した単純な浄化対策がうまくいかないは、同じ発想の上で対策を立てているからです。このような自己完結型の発想は、アサザプロジェクトがめざす湖から流域をトータルに捉える発想とは異なります。
アサザプロジェクトでは、湖の再生を湖の漁業や流域の農業などの社会システムを含む総合的な取組みを通して実現させようとしています。そのため、上記のように「アサザが水質を悪化させる」といった評価に導くような個別縦割り型の発想とは次元を異にしているものです。個別縦割り型の発想を乗り超えることが、霞ヶ浦全体を視野に入れた現実的な取組みを実現する上での課題となっています。その乗り越えをめざしているのが、市民型公共事業アサザプロジェクトです。
従来の発想の乗り越えをめざす新しい取組みということもあり、十分に理解を頂けない場合もありますので、今後とも私どもの考え方をより分かりやすく伝えていく努力を心掛けてまいります。皆様がお気付きの点やご不明の点がありましたら、是非ご意見をお寄せ下さい。



アサザの植付けはどのように行っているんですか?


アサザ基金では、霞ヶ浦にあった元々の植生帯の中にアサザ咲く景観を取り戻すことを目標に取組んでいます。アサザだけが生えているという不自然な自然再生はまったく最初から考えていません。
現在、絶滅の恐れのある霞ヶ浦のアサザ群落を保護することを目的に、もともとアサザが生育していた場所(34カ所・1996年)の内の9カ所(石田、根田、境島、古渡、鳩崎、永山、梶山、大船津、爪木)で植え付けによる群落の再生を行なっています。それらの再生に使うアサザ株は、流域の各小学校で系統保存されている株(それぞれ由来証明書を付けています)や、市民ボランティアや企業、団体などで保存していただいている株(各アサザの里親には、勝手にアサザを植えるなどの行為を行なわない旨の誓約書を書いてもらっています)を、使用しています。
それらの再生は、専門家による研究を活かしながら実施しています。近年(国交省が湖の生態系に影響がある水位上昇管理を実施以来)アサザが急激に減少し続けています。アサザの群落数は34カ所から2010年現在9カ所(根田、麻生、鳩崎、和田岬、境島、大島、爪木、梶山、大船津)に激減しており、このまま群落数を減らし続けることは、霞ヶ浦のアサザを絶滅に追い込むことにつながることから、研究者のデータを基にアサザの種子が自然状態で定着し群落を形成する可能性の高い場所(セーフサイト)から3カ所で群落再生を試みています。

それらの再生は、専門家による研究を活かしながら実施しています。近年(国交省が湖の生態系に影響がある水位上昇管理を実施以来)アサザが急激に減少し続けています。アサザの群落数は34カ所から2010年現在9カ所(根田、麻生、鳩崎、和田岬、境島、大島、爪木、梶山、大船津)に激減しており、このまま群落数を減らし続けることは、霞ヶ浦のアサザを絶滅に追い込むことにつながることから、研究者のデータを基にアサザの種子が自然状態で定着し群落を形成する可能性の高い場所(セーフサイト)から3カ所で群落再生を試みています。
したがって、最近一部の団体関係者から指摘のあるような「やみくもにアサザを植えている」などということは全くありません。アサザ基金では、霞ヶ浦にあった元々の植生帯の中にアサザが咲く景観を取り戻すことを目標に取組んでいます。アサザだけが生えているという不自然な自然再生は最初から考えていません。

アサザは植生帯のメンバーの一員であり、同時に生態系全体に大きな影響を及ぼす湖の水位管理の影響を受けやすい植物でもあります。アサザについては水位管理前後の分布の変遷が正確に分かっていることや、その生活史に関する研究から人工的な水位の変化に伴う影響を受けるという仮説が立てられていた種であることから、指標のひとつになると考えています。
わたし達のようなNPOでは、湖全域の植生帯についての水位による影響を詳細に調査することは労力的に不可能です。現実的に、調査可能なアサザを指標に選んでいます。(霞ヶ浦に関しては、水位管理に対してきちんとした提言を行なう研究者がいないことが問題です。水位管理について具体的な案を示さずアサザを批判をするだけの研究者の責任はとくに重大です。)
また、同様の関係者からは、「アサザ群落の再生が沈水植物の再生を阻害している」といった批判がネット上などに流布されていますが、そのような批判については以下のように考えています。

1.原則アサザ群落がもともと生育していた場所での再生を行なっており、湖全体の中で見れば、アサザが湖面を葉で被うとしても限定された地域になることから、もともと湖のほぼ全域に生育していた沈水植物群落の再生場所は十分に確保されています。

2.アサザ群落が水面を被い水中の沈水植物が再生できないという批判については、水位上昇管理以降にアサザ群落が次々と消滅し、すでに消滅後10年以上経っている地域もありますが、一向に沈水植物は再生してきません。
これは、現在の水質汚濁が進み富栄養化した湖の状態(透明度がきわめて低い→水中の沈水植物に日光が届かない)では、沈水植物の再生は不可能であるということです。また、湖の中に造られた浅瀬に沈水植物が再生することがありますが、2,3年でヨシやヒメガマ、マコモなどの抽水植物が浅瀬を被い尽くしてしまうため、沈水植物は消滅してしまいます。
沈水植物群落の再生には、困難な課題ではありますが流域の社会システムの再構築(環境保全型・循環型社会)を通して湖への流入負荷を減らし、湖の富栄養化を改善する以外にないと考えます。そのため、アサザプロジェクトではホームページで紹介しているような水源地再生事業や環境保全型農業推進、流域全域での環境教育、循環型まちづくり事業、森林保全などの多様な取組みを、流域全体を視野に入れ展開しています。これらの取組みを総合的に評価するのが、湖の沈水植物です。

3.長期的な視点でアサザの存在を捉えてみた場合、アサザプロジェクトの流域全域での展開が実を結び将来湖の富栄養化が改善された時には、各アサザ群落の大きさ(葉で水面を被う面積)は縮小するでしょう。それは、かつて霞ヶ浦が富栄養化する以前の調査結果を見ても明らかです。それに変わって透明度の高くなった湖内に大規模な沈水植物群落が再生されると考えています。このような状態がアサザプロジェクトの目標となっています。
なお、アサザ基金では、沈水植物群落の再生実験をこれまでにも行なってきました。霞ヶ浦の湖内での実験(日光が届く浅瀬で再生を試みたが失敗)の他にも、学校の使われなくなったプールを利用した実験などを行ない環境教育と一体化した形で調査や観察を実施しています。プールでの実験では透明度の回復に伴い全域を沈水植物で被うことができました。また、一緒に植えたアサザの群落もあまり大きくならないことを確認できました。

4.アサザ群落ができると水面を葉で被うために、水中の酸素が減少し水質を悪化させるという批判があります。その場合よく参考事例として示されるのは、浮草(湖底にまで茎をのばさず湖底に根も張らない)で水面を被われた水域です。たとえば「ボタンウキクサ(外来種)で被われた池を見せて、これに黄色い花を付ければアサザと同じだ」といった乱暴な批判を行なう研究者がいます。
しかし、アサザは浮草とは違い(アサザは水中の茎から多くの根を出すヒシとも異なります・ヒシは一年草でかつ湖底で種子が発芽できるため、前年までに散布された種子から一気に大きい群落をつくることができます。一方アサザは多年草で、種子は湖底では発芽できず、一気に水面を覆うことはありません)、アサザは水面に浮く葉から茎が湖底に向かって伸び、そのまま湖底の土の中の地下茎につながっています。水面に浮くたくさんの葉のそれぞれには小さな穴がいくつも開いていて、ここから酸素の少ない湖底の根にまで空気中の酸素を水中の茎を通して送っています。アサザはこのような通気システムを持っているため、アサザ群落の下の水底には酸素が根から供給されます(Grosse W, Mevi-Shuetz J (1987) A beneficial gas transport system in Nymphoides peltata. American Journal of Botany, 74, 947-952.)。また、アサザ群落の無い水底に較べて、水底に生息する生物の種類・数ともに多くなるという研究があります(Brock TCM, Van der Velde G (1996) Aquatic macroinvertabrate community structure of a Nymphoides peltata-dominated and macrophyte-free site in an oxbow lake. Netherlands Journal of Aquatic Ecology, 30, 151-163.)。
つまり、アサザが水質を悪化させるという評価は、アサザのごく一部分を見た個別縦割り型評価の典型といえます。

いずれにしても、アサザはもともと自然に霞ヶ浦の植生帯の一員として生育していた水草です。そのような植生帯の中でアサザが多様な生物とどのような複雑な相互作用を持つのかはまだ十分に解明はされていません(アサザの葉を食べる魚や水鳥、昆虫等との関係・食物連鎖もその一部です)。しかし、それは、植生帯と構成するアサザ以外の多様な種も同様であり、そのような科学的な視点から見ればある側面を捉え「どの水草は悪い」「どの水草は良い」といった勝手な価値観を声高に主張し、生態系の解明に向けた研究や評価に持ち込むこと自体が、非科学的であり科学の基本を逸脱した行為と言わざるをえません。とくに大学等での科学教育の充実を望みます。
しかも、霞ヶ浦のアサザは現在きわめて危機的状況にあり、これ以上の減少を食い止めなければならない時に、上記のような部分的な評価で「アサザを植えるのは悪いこと」「水質を悪化させる」などと云った情報を流布することは、ただアサザを絶滅に追い込む手助けをしているに過ぎないことになります。

最後に、アサザの保護は霞ヶ浦再生事業の一部ですが、保護の背景には湖の水位管理の在り方や湖の生物多様性の保全等の重要な課題があることを十分に理解して頂き、批判をされる場合には、自分はどのように具体的に湖を再生する(例えば、沈水植物群落や水質改善、水位管理など)ことができると考えているのかを示して頂きたいと思います。一方的に相手を批判する姿勢では、霞ヶ浦再生の取組みの健全な発展は望めません。
みなさまの理解と協力をお願いします。






NPO法人アサザ基金のこと


いつから活動しているんですか?


アサザプロジェクトの立ち上げは1995年、1999年にNPO法人格を取得しました。
→団体概要のページへ




アサザプロジェクト中ではどのような役割を担っているんですか?


アサザプロジェクトには、中心となる組織が存在しません。 中心にあるのは「協働の場」であり、緩やかなネットワークを通じて各主体が自らの目的を達成することで、環境保全が内部目的化される仕組みになっています。このような「協働の場」「マーケティングの場」において様々な主体をつないでコーディネートする役割を担っているのがアサザ基金です。



ネットワーク型社会の構築とはどういうですか?


社会が複雑化し同時に組織の機能が専門分化したことで、相互の関係性が見失われた結果、社会の課題を個別の技術や対策では解決できなくなりました。それは、環境に限らず、福祉などの他の政策についても言えます。個人を核とした現代社会では環境保全が人々の生き方や価値観と結び付かないかぎり、人々の主体的な行動を引き出すことは難しい。つまり、自分の生活の中で起きる様々な出来事を総合化し、人格をとおして統合しようとする意志を持つ個々人が核となったネットワークこそが、自然と共存する社会の基礎となるものであると考えます。

今、湖沼の保全や再生をめざすわたし達に求められているのは、まさに人格が機能するネットワーク型社会の構築であると考えます。アサザプロジェクトが目標とする21世紀型社会は、総合化する主体を権力に頼らない、力にはよらない、中心に組織をもたないネットワーク型の社会であり、個々の人格が機能する社会です。

詳しくはネットワーク型社会の構築による湖沼保全のページをご覧ください。





市民型公共事業とは何ですか?


市民型公共事業は、ある事業の波及効果が広域ネットワークをとおして地域全体に、自然のネットワークと重なり合うように、既存の枠組みを越えて広がる公共事業であり、生活者の視点をもったNPOがコーディネーターとなって展開するものです。

詳しくは市民型公共事業とはのページをご覧下さい。





何名くらいのスタッフが活動しているんですか?


現在常勤で働いているスタッフは9名です。

今までの活動実績を教えてください。


1995年から現在まで、流域の様々な組織が連携して進める湖の自然再生事業を行っています。2004年からは、企業と連携協働で湖の水源地(谷津田)を再生し地酒をつくる事業を開始。2005年からは、地元漁業・農業と協働で湖の外来魚の駆除と農産物ブランドをつくる事業を行っています。
詳しくは主な事業実績のページをご覧ください。




湖や流域のこと


霞ヶ浦・北浦の状況を教えてください。


霞ヶ浦は日本で2番目に大きな湖で、面積は220平方キロメートル、周囲は250キロメートルにも及びます。首都圏に位置する霞ヶ浦は、水質の汚濁や水源となる森林の減少、コンクリート護岸によって植生が失われてしまうという問題がおきています。また、最近では湖の水位を上げた管理が行われているため、植生帯が減少しています。
→関連ページへ




アサザ群落の分布について教えてください


霞ヶ浦のアサザ群落は1994年と1996年では、湖全域の34カ所で確認されています(西廣ほか 2001, 応用生態工学)。地元の方々からはそれ以前には他の場所でも見たという話も聞いています。
また、「霞ヶ浦の水生植物」の中でアサザは「霞ヶ浦では、ほぼ全湖に散発的に分布し、波浪の影響を受ける開水域にも大きな群落をつくる。特に西浦右岸下流の北利根川河口の大群落は、面積3haに及ぶ純群落で、夏秋の頃沖側から眺めると、ガマの群落を背景にして一面に黄色の花を開いた風景はなかなか美しく、見ごたえがある。」と記述されています(桜井義雄、国土交通省霞ヶ浦河川事務所(2004) 霞ヶ浦の水生植物―1972~1993.変遷の記録, 信山社サイテック)。
しかし、一部にアサザは元々霞ヶ浦にはあまりなく、1994年頃に雨が少なく夏が暑い等の条件が重なったことでたまたまアサザの生育に合った条件が重なり、その結果一時的にアサザが多く見られただけであり(一時的な特殊な現象に過ぎない)、そのような一時的で特殊な現象を基にアサザを保護するというのはおかしいという意見(批判)があります。
わたしたちは、このような意見はアサザの生態を無視したものであり、科学的な根拠が示されず検証も行なわれていないため、憶測にすぎないものと考えます。

たとえば、ヒシは1994年頃に湖の各地で突然大きな群落を作りました。その理由は、この頃は上記のような気象条件があり、ヒシの生育に適していたためと考えられます。しかし、それに加えてヒシが一気に湖の各地に群落を作ることができた大きな理由がありました。それは、ヒシは一年草で生育条件の良い年に大量の種子を生産し湖底に広く散布するので、次に条件のよい年が来た時には湖底に蓄えられた種子が一気に広範囲で発芽し茎を水面にまで伸ばし葉を広げることができるからです。実際に、これまでにも好条件の年にヒシ群落は突然湖の各地に出現しています。
上記のように、ヒシが一気に大きな群落を各地に形成できる最も大きな理由は、種子が湖底で発芽できることにあります。
では、ヒシと同じ浮葉植物であるアサザも、批判をしている人が言うように1994年頃、好条件のもとに大発生をしたと考えるべきなのでしょうか。実は、アサザにはヒシのように一気に群落数を増やし群落面積を増やすことができない理由があります。それは、アサザはヒシと違い湖底で種子を発芽させることができないからです。アサザの種子は浜などに打ち上げられ、水辺の陸地部分で発芽する生態をもっています(鷲谷 1994, 科学、高川 2006, 博士論文)。1994年頃に湖で確認された34カ所のアサザ群落の大半は、周囲に種子を発芽させるために必要な浜やヨシ原などの陸地を持っていませんでした。つまり、コンクリート護岸(垂直の壁)に隣接した環境にあったわけです。したがって、大半のアサザは生育に好条件の年であっても、種子から群落を作ることはできない状況にありました。もし仮に、アサザ群落の近くに浜やヨシ原などの陸地があった場合にも、陸地で発芽したアサザの株がランナー(横に伸びる茎)を伸ばして水域に広がり小さな群落を作るにも数年はかかります。実際に私たちが、アサザを植え付けてから、その後の推移を観察した結果、植え付け後にアサザが広がりある程度の群落を形成するには10年近くかかることが分かっています。したがって、どんなに好条件が揃っても、アサザが短期間に種子から発芽して急に各地に群落を形成するとは考えられません。
さらに、陸地部分で発芽したアサザも、ほとんどが大きな波浪や増水などを受けて流されてしまったり、まわりに背の高い草が茂って日が当らなくなって枯れてしまったりして、実際にランナーを伸ばして湖に群落を作ることができる株はほとんどなく、まして、現在の湖ではコンクリート護岸の影響で波が荒くなり、さらに不自然な湖水位の管理の影響も加わっていることを考えれば、アサザの種子が発芽して湖に群落を作ることはほとんど不可能に近い状態になっています。
このようにアサザが種子から群落を作ることがほとんど出来ない状況は、湖岸のコンクリート護岸化が始まった1970年代から1990年ごろまでに湖全域に及びました。(アサザ保護をテーマにした環境学習では、上記のようなアサザを減少に追い込む原因について学ぶことで、湖の多くの生物が同じように護岸や水位管理、水質汚濁等によって大きな影響を受けている現状を知り、改善の方法を考える学習へと展開します。)
以上のような理由から、1994年ころに確認されたアサザ群落は、かなり以前(1970年頃から始まった護岸工事以前)に種子から広がった群落の生き残りであり(アサザは多年草です)、「アサザはもともとそんなに無かった」という批判をする人が言うように、当時の34カ所のアサザ群落が好条件のもとに急に増えた(発生した)と考えることは不可能です。
上記のように、アサザが長い間種子から新しい群落を作ることができない環境にあったと考えられること、また現状でも種子の発芽する条件がほとんどないということは、アサザがいつ絶滅してもおかしくない状況を示しています(高川 2006, 博士論文)。現在生き残っているアサザ群落の寿命が尽きたり、水位上昇(1996年~)のような悪条件によって群落が衰退してしまうと、一気に絶滅してしまう恐れが高いのです。

アサザは湖の生態系の一員です。そのひとつの生物が危機的な状況にあるということは、同じように湖の自然環境に依存してきた他の多くの生物も、人間による湖の環境の改変によって大きな影響を受けていると考えるのが自然です。したがって、アサザによって示されている問題を、アサザだけの問題として狭く捉えるのではなく、湖に生息する多様な生物への影響を考えるひとつの契機と考え、湖の生物多様性への人々の関心を高め、湖の生態系保全に必要な考え方の普及や霞ヶ浦再生活動に結び付けていくことが、アサザの保護に取組む私たちの真の目的です。
これまで述べてきましたように、一部団体関係者が言うように「もともとは霞ヶ浦にほとんど無かったアサザを、一時的に増えた特殊な現象を基に保護するのはおかしい」といった批判は科学的とはいえません。上記のような批判を科学的な根拠もなく思い込みで主張することは、アサザだけではなく湖の生態系を保全するための取組みを後退させるだけです。実際に、このような無責任な主張によって、重要な議論が混乱させられてきたのも事実です(それにより、アサザ衰退を契機に行なわれていた水位上昇の中止(2000年)が2006年にはほぼ再開されてしまいました。また、アサザ批判と一緒に行なわれた粗朶消波施設への批判に乗じて、環境破壊著しい石積み消波堤が一気に増設されていきました)。
今緊急に求められているのは、国交省による不自然な湖水位の管理(冬期の上昇など)が生態系に及ぼしている影響について科学的に検証することと、今後に向けて自然と調和した水位管理の実現に向けた真摯な議論を重ねていくことです。一部の団体関係者によって行なわれている上記のような批判の仕方は、結果として現行の水位管理による湖の生態系へのダメージを継続させるだけであり、湖の多くの生物を絶滅に追い込むことにつながることを関係者は十分に理解し、改めるべきです。
研究者の肩書を使い次々と科学的な根拠の乏しい原因仮説を主張し、議論をただ長引かせ問題解決を遅らせた結果、被害を拡大させ多くの犠牲者を出した水俣病の教訓を忘れてはなりません。
わたしたちは霞ヶ浦の再生へ向けた取組みや研究の健全な発展を心から望みます。






粗朶消波施設の設置について教えてください


霞ヶ浦では1990年頃から石積みの大規模な消波堤が各地で設置され始めていました。
この石積み消波堤は水域を分断し、水流を妨げ、ヘドロの堆積を促すなどの環境への影響が大きいため、私たちは危機感を強め、それらの設置を中止するように国交省(建設省)に再三申し入れてきました(申し入れ書等で中止を申し入れてきたのは私たちの市民団体だけです)。
しかし、石積み消波堤の設置がその後も継続されたため、波浪に対して治水上や住民からの強い要望等がありやむを得ない場合に代替案として、恒久的に水域を分断し透過性の無い石積み消波施設による決定的な破壊を回避することを目的に、将来撤去可能で透過性が高い粗朶消波施設の設置を行なうように国交省に提案をしてきました。
国交省では波浪対策として一部を粗朶消波施設にしましたが(大半の対策地域は石積み消波堤)、これらについてはアサザ基金が要望をして設置されたものではありません。アサザ基金は原則として波浪対策事業に反対を表明しています。さらに、これらの波浪対策事業に対しては事前調査と事後調査を行ない公表するように申し入れ書を再三国交省に提出しています。
霞ヶ浦で設置されている大規模石積み消波施設に関する申し入れ(pdf)リンク工事中
蓮河原地区・境島地区波浪対策工事(石積み消波堤設置)の中止を求める申し入れ書(pdf)リンク工事中

アサザ基金が提案をして設置した粗朶消波施設もありますが、それらは主に1996年以来の水位上昇管理によって衰退が進んでいたアサザ群落や抽水植物群落の再生を促すために設置したもので、その中でも境島(旧東町・潮来町)や根田(旧出島村)などは湖内で特に波浪が大きい地域です。その他にも波浪の強い地域にアサザの群落が見られますが、それらすべてに粗朶消波施設を設置したわけではありません。
さらに、アサザ保全のために設置した粗朶消波施設は、アサザが群落を形成した段階で撤去することを前提にしています。
また、それらの粗朶消波施設の設置にあたっては、事前の調査が行われ当時国交省が設置した各分野の専門家が参加した委員会において設置の必要性や効果の予測、環境への影響等の議論を公開で行なっています。設置後もモニタリングが継続されています。詳しくは国土交通省霞ヶ浦事務所WEB内、「霞ヶ浦の湖岸植生帯の保全にかかる検討会」会議資料や「霞ヶ浦湖岸植生帯の緊急保全対策評価検討会;中間評価 http://www.ktr.mlit.go.jp/kasumi/topic/071030/index.html」、 河川環境管理財団のWEB内の資料http://www.kasen.or.jp/work/pdf/res02-04-403.pdf等をご覧ください。

アサザ基金による独自の調査も専門家の協力を得て実施してきました。

こちらを参照ください

アサザ基金では粗朶消波施設を水質改善が進むまで再生の見込めない沈水植物群落の代替機能として位置付けています。調査の結果、粗朶消波施設は沈水植物群落に近い消波効果があり、在来の魚類(ワカサギの稚魚など)の生息場所として機能することも分かって来ました。実際に、粗朶は最近まで湖内の漁業で利用されてきました。同時に、石積み消波堤での調査も行ない、底質のヘドロ化や生息環境の悪化を確認しています。
沈水植物群落の再生はアサザプロジェクトの目標のひとつですが、そのためには湖の水質改善が不可欠です。アサザプロジェクトはその目標達成へ向けて流域ぐるみでの水質改善を進める取組みを行なっています。例えば、水源地・谷津田の再生事業や外来魚駆除と魚粉の肥料化、環境保全型農業の推進、流域全域での環境教育の推進、廃食油の回収事業、森林保全と再生などを広域展開する努力を続けています(これらの取組みについては、アサザ基金のホームページをご覧ください)。

尚、一部に上記の波浪対策事業による粗朶消波施設や石積み消波堤の設置をアサザ基金が国交省に要望してきたといった意図的に誤解を広めようとする情報が流されていますが、これらは全く事実に反するものです。また、これらの消波施設で起きている現象(砂浜が消滅した、水質が悪化した、粗朶の流出、トチカガミなどが過繁茂など)を、アサザ基金が関わる粗朶消波施設で起きているかのように伝え批判する一部市民団体関係者があることは残念です。この関係者には8年ほど前から事実関係を示し事実確認を行なうように求めていますが、「消波施設はみんな同じだ。アサザ基金が国を動かして設置している」等と云った主張を繰り広げ事態を混乱させ続けています。重複しますが、アサザ基金ではそれらの波浪対策事業による消波施設の設置にはこれまで一貫して反対をしてきました。

現在は、上記一部の人によって行なわれた粗朶消波施設への誤解と混乱を招く批判によって、波浪対策事業では現在すべてが石積みの消波堤になってしましました。今年度も大規模な石積みの消波施設の設置工事が行われ、環境破壊が深刻化しています。アサザ基金では、継続して国交省にそれらの設置の中止を申し入れていますが、粗朶消波施設を批判する一部市民団体関係者(大学関係者もこの市民団体のメンバーです)からは、これらの石積み消波堤への中止申し入れ等は一切ありません(その一方で、相変わらずアサザ基金が消波堤設置を要望している等の事実に反する批判を続けています。また、事実に忠実であるべき学会等でもこのような主張が繰り広げられていることは科学の信頼性を損なうものであり深刻です)。

誠意ある研究者の皆様には、事実関係をご確認いただき、学問の世界の健全化に向けて、科学的客観的な批判が行われることを期待しています。また、私たちの取組みは現在多岐にわたっていますので、それらについての科学的な評価をしていただける研究者を求めています。
その他、疑問の点等がありましたら、アサザ基金に問い合わせを頂くようお願いします。





霞ヶ浦の水はどこから来るんですか?


大型の流入河川がない霞ヶ浦・北浦では、主な水源は流域に数多く分布する谷津田(やつだ)と呼ばれる場所です。谷津田とは、谷地にある田んぼのことで、流域には1000ヶ所以上あると言われています。
谷津田は、水源地としてのみではなく、様々な生き物にとって重要な生息地となっています。




谷津田の現状を教えてください。


谷津田は霞ヶ浦・北浦の重要な水源地であるほか、野生生物にとっても重要な生息地ですが、現在は、高齢化や管理が大変なために耕作放棄が増え、荒れてしまっています。
アサザプロジェクトでは、谷津田が本来持つ、水源としての役割、水質保全、生物多様性保全の機能を取り戻すために、企業や地域と協働で水源地保全の取り組みを行っています。
→谷津田の再生・保全のページへ

参加・協力に関して


活動に参加したいのですが、どうすればいいですか?


例えば以下のような方法があります。
 1.イベントに参加する
 
 2.調査に参加する
 
 3.ボランティア・スタッフとして参加する
 4.会員になる
 
詳しくは参加・ご支援のページをご覧ください。

インターンやボランティアの受け入れは行なっているんですか?


各方面(企業・学校)より受け入れを行っています。詳しくはお問い合わせください。
→ボランティア・スタッフとして参加するのページへ

会員になりたいのですが、どうすればいいですか?


「NPO法人アサザ基金」は会費や寄付金などで運営されています。会員になってご支援をいただければ幸いです。
詳しくは会員になるのページをご覧ください。

会員になるとどんなことができますか?


会員の方には、アサザプロジェクトの情報や行事案内を定期的にお送りします。
→会員になるのページへ

CSR活動の一環として支援したいです。


アサザ基金までお問い合わせください。

その他


出前授業を依頼したいです。


アサザプロジェクトでは、地域の自然や生き物をテーマとした様々な学習プログラムを提供しています。出前授業を希望される学校さんは、お電話にてご相談ください。
詳しくは出前授業のページをご覧ください。

講演を依頼したいです。


アサザ基金までお問い合わせください。

視察に行きたいです。


アサザプロジェクトに関心をお寄せいただきありがとうございます。視察やヒアリングは随時受け付けておりますので、ご相談ください。
→視察・ヒアリングのページへ

 
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