アサザプロジェクト物語3

kappasss8.かすみがうらに流れていく水が生まれるところ・谷津田(やつた)を守る

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かすみがうらの周りでは、多くの学校で谷津田について学習をはじめました。
かすみがうらを守るために、この谷津田のことを考えるひつようがあると気がついたからです。
谷津田という場所は、かすみがうらのまわりにたくさんあります。
まだ、ちゃんと数えた人はいませんが、全部で1000カ所くらいあるといわれています。
ところが、これらの谷津田のほとんどが今荒れてしまっているのです。
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谷津田は40年くらい前まではみんな田んぼでしたが、いまは手を入れなくなりほとんどが荒れ地になっています。
谷津田が荒れ地になってしまうと、そこに住んでいたホタルやメダカ、トンボやカエルなどの多くの生き物が住めなくなってしまいます。

それだけではありません。
谷津田のまわりには森があって、この森が雨水をたくわえて谷津田にわき水をおくってくれるのですが、森も手入れをしなくなって荒れているのです。
森が荒れると、森に住んでいるフクロウやタカやタヌキなどのたくさんの生き物たちが住めなくなってしまいます。
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荒れてしまった谷津田や森には多くのゴミが捨てられるようになりました。
多くの大人たちが、谷津田や森がかすみがうらの水が生まれる大切な場所だということをわすれてしまったからです。

そこで、子どもたちは学校のかんきょう学習で身近にある谷津田や森が今どうなっているのかを調べました。
そして、昔はどんな場所だったのかどんな生き物がいたのかを地元のお年寄りから聞きました。
昔はいて今はいなくなってしまった生き物たちがどうしていなくなったか、生き物たちがこまっている理由を考えました。
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生き物とお話しする方法を学習した子どもたちには、いなくなってしまった生き物たちの気持ちが分かるので、それらの生き物たちがこまっていた原因を見つけることができました。
その原因のほとんどは、人間が谷津田や森をあらしたりこわしてしまったり、水をよごしてしまったことにあると分かりました。

かすみがうらを守るためには、自分たちの近くにある谷津田や森を守ることが大切だと気がついた子どもたちは、地元の人たちにそのことを知らせる学習発表会やポスター作りをおこないました。

kappasss9.子どもたちが大人を動かす。社会をかえる。

子どもたちのかつどうによって、多くの大人が大切なことをわすれていたことに気がつきました。
かすみがうらという大きな湖のかんきょうを良くしていくためには、まず自分たちが住んでいる足もとのかんきょうを良くしていくことがひつようだということに気がついたのです。

同じことは、地球かんきょうを守ることにもついてもいえますね。
地球かんきょうを守るのも、まず自分たちの身近なかんきょうをまもることから始めなければなりません。
君がいるその場所も、ちきゅうの一部だからです。(このホームページのかんきょう学習や社会をかえるも読んでみてくださいね。)

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谷津田の学習をおこなった小学校の中には、自分たちの学校の横にある谷津田が荒れていることに気づき、大人たちに提案をしてじっさいに昔のような田んぼや小川や池を作って、森からのわき水や生き物たちを守ることを実現した学校もでてきました。

このような子どもたちのかつどうが、しんぶんやテレビなどで知られるようになると、多くの人たちが谷津田に関心をもつようになりました。
そして、大人の人たちも、いろいろな場所にある谷津田を守るかつどうをはじめたのです。
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いまでは、東京にある大きな会社の人たちもさんかしてくれるようになって、かすみがうらのまわりの10カ所いじょうの谷津田で水と生き物、自然を守るかつどうが行われています。
これらのかつどう(アサザプロジェクト)には、もう2万人近くがさんかしています。
それまで荒れていた谷津田や森が、多くのボランティアの努力で良いかんきょうにもどってきています。
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これらの谷津田では、無農薬で米作りをおこなっています。
生き物たちを守り、きれいな水をかすみがうらへ送るためです。
無農薬で作ったお米を、かすみがうらのまわりにある会社やお店に協力してもらってお酒やおせんべいを作ります。
谷津田でとれたお米を使ったお酒やおせんべいがたくさん売れるようになると、谷津田でたくさんのお米を作るようになるので、荒れていた谷津田をより多くもとの田んぼにもどしていくことができるからです。
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今、お酒やおせんべいの他にも、谷津田でとれたお米をつかった新しいもの作りができないかを考える学習をしている小学生や中学生もいます。
これまで谷津田にかかわってきた農家の人たちだけではなく、子どもたちがいろいろな人たちにつながりを広げていって、多くの谷津田をよみがえらせようとしています。

このようにして、みんなでたくさんの谷津田をよみがえらせることができたら、むかし谷津田に住んでいたトキ(日本では一度ぜつめつした鳥ですが、いま新潟県の佐渡でふやしています)がふたたび住めるようになるとみんな信じています。
もちろん、トキといっしょにホタルやメダカやトンボなど多くの生き物もいっぱい帰って来てくれるでしょう。
そして、きれいな水もたくさんかすみがうらに送ることができるようになります。
たくさんの人たちが協力し合うことで、いままではできないとあきらめていたことが、もしかしたらできるかもしれないと思えるようになるものです。
アサザプロジェクトに協力してくれた人たちは、23万人をこえました。
わたしたちは、かすみがうらがきっとよみがえると信じてかつどうしています。
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kappasss10.どんどん広がるアサザの夢

アサザとの出会いから始まった物語は今も続いています。
そして、まいとし新しいかつどうが始まっています。
無農薬でさいばいした大豆をつかって作るしょうゆや、無農薬でさいばいするレンコン、無農薬でさいばいしたナタネやヒマワリで作る食用油、そして、それらの作物の肥料を作るための外来魚をとることなど、いろいろなことをいろいろな人たちといろいろな場所でやっています。

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とくに、肥料にする外来魚は、かすみがうらの漁師さんたちにとってもらいます。
とった外来魚は工場に持っていって粉にしてもらいます。
粉にした外来魚を、かすみがうらのまわりで野菜をさいばいしている農家の人たちに肥料として使ってもらいます。
そのようにしてとれた野菜を、カスミスーパーなどで販売してもらいます。
みずうみが喜ぶ野菜たちという名前がついた野菜をお店で見かけたらぜひ買ってください。
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この野菜がたくさん売れると、より多くの外来魚をかすみがうらから捕(と)って減(へ)らすことができるからです。
外来魚をへらせば、昔からかすみがうらにいたワカサギやシラウオやウナギなどがまたふえて、自然もゆたかになります。

かすみがうらと海の間に作られたぎゃく水門という水門を開けて、海から湖にやって来るウナギをふやして、かすみがうらを世界一ウナギがとれる湖にしようという提案もしています。
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このように、アサザプロジェクトからは毎年あたらしいアイデアがつぎつぎと生まれています。
そして、その中には、子どもたちのアイデアや提案も数多くあるのです。子どもたちも大人たちといっしょに、未来をつくっているのです。

かすみがうらの水をよごし、しぜんをこわしたのはわたしたち人間です。
だから、わたしたちが水をきれいにして、しぜんをとりもどしていかなければなりません。
かすみがうらのような大きな湖の水をきれいして豊かな自然をよみがえらせるのは、そうかんたんではありません。
でも、たくさんの子どもたちや大人たちが協力し合って取り組んでいけば、いつかきっとかすみがうらはよみがえると信じています。
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kappasss11.かすみがうらから世界へとひろがる夢。アサザプロジェクトの物語

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あの大きなかすみがうらにきれいな水や豊かな自然がもどって来たら、どんなにすばらしいことでしょう。
きっと、日本中の人たちが、やればできるんだと思ってくれるでしょう。

それだけではありません。
かすみがうらにはいまも毎年のようにアサザプロジェクトの取り組みを見学するために、外国から多くの人が来るようになっています。
こんなにたくさんの子どもと大人が協力し合って、かんきょうを良くするために取り組んでいるところは、世界中にほとんどないからです。
多くの人たちが、かすみがうらの取り組み(アサザプロジェクト)を注目しています。
この取り組みをみんなでもっと進めていって、世界の人たちの参考になるようにしていきましょう。
そうすれば、かすみがうらから世界中に、ちきゅうかんきょうを守る取り組みを広げていきことができるのです。
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アサザプロジェクトをさんこうにした取り組みは、日本かくちに広がっています。
もう学校でアサザプロジェクトの出前授業をうけたことがある人もいるかもしれませんね。

kappasss12.すぐ近くにねむっている宝物を見つけ出して、君の物語をはじめよう

アサザプロジェクトを参考にした取り組みは、日本全国に広がっています。
このホームページでも、それらの地域での取り組みをしょうかいしています。
アサザプロジェクトは今では23万人もの人たちがさんかする大きなプロジェクトになっています。
けれども、この物語をよんでくれた君には分かったと思います。
この大きなプロジェクトは、かすみがうらで咲いていた小さなひとつの花アサザから始まったということを。

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アサザのような宝物は、遠くにはありません。
大人の人たちは、自分がくらしているところをよく「ここには何もないよ」と言いますが、それはまちがいです。
君の近くにも必ずみんなが忘れてしまっていた宝物がねむっているはずです。
その宝物は、だれもが当たり前のものだと思っているものの中にねむっているはずです。
当たり前だと思っていたものに、つながりという魔法をかけて宝物にかえるのは、君です。

その宝物が、いまも君に見つけてもらうのを待っています。
君がくらしているまちで、あたらしい物語が始まるのを心まちにしているのです。
このちきゅうのすべての場所に宝物がねむっています。
なぜなら、このちきゅう全部がわたしたちの宝物だからです。
子どもたちには、大人たちよりも宝物をさがし出す力があるのです。
さあ、君の足もとにねむっている宝物をみつけだそう。
そして、未来へとつながる物語をつくりはじめよう。

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アサザプロジェクト物語1
1.ひとつの花との出会い
2.かすみがうらの水がよごれ自然がへってしまい、みんながあきらめかけていた。
3.子どもたちが湖ではじめた宝さがし
4.アサザが教えてくれたこと

アサザプロジェクト物語2
5.まず、アサザを絶滅のききからすくおう!
6.たくさんの人々がさんかして、きょうりょくの輪がひろがっていきました
7.生き物とお話するほうほうの学習からまちづくり学習へ

アサザプロジェクト物語3
8.かすみがうらに流れていく水が生まれるところ・谷津田(やつた)を守る
9.子どもたちが大人を動かす。社会をかえる
10.どんどん広がるアサザの夢
11.かすみがうらから世界へとひろがる夢。アサザプロジェクトの物語
12.すぐ近くにねむっている宝物を見つけ出して、君の物語をはじめよう

 
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