松戸・川と風を感じる街づくり

松戸

松戸・川と風を感じる街づくり

地域の自治会や小学校区、商店街などによる多様なコミュニティ機能を活かした地球温暖化の防止への取り組みとして、千葉県松戸市において2009年7月よりスタートした「松戸・川と風を感じる街づくり」プロジェクト。
松戸は古くから舟運で栄え、舟運に必要な川と風が、松戸という街とその文化をつくってきたと言えます。
川と風をキーワードに、松戸を流れる坂川流域に位置する小学校の子どもたちによって、プロジェクトは展開されています!

子どもたちによる取り組み

「松戸・川と風を感じる街づくり」プロジェクトのさきがけとして、松戸市の小学校で環境学習、2回の野外観察、そして商店街の方への聞き取りを行いました。キーワードは川(清流)や木陰に涼風(川風)を求めて暮らしているハグロトンボです。

2009年7月

第1回目の授業では、生き物とお話しする方法、そして松戸に住むハグロトンボについて学びました。
ハグロトンボの話になると、家の庭や駐車場で見たと言う子も…!

8月22日

夏休みに希望者を募り開催された、野外観察には、保護者の方を含め総勢46名の方に参加していただきました。
坂川から江戸川にかけて、風船を川風の目印に「松戸たんけん隊」出発です!
坂川を橋の上からのぞくと、アユの姿が!
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そして川岸の木陰をよーく見てみると、ハグロトンボを発見!
神社や路地裏の木陰など、ハグロトンボは松戸の涼しい場所をたくさん教えてくれました。
江戸川に近づくにつれ風船も強く風に吹かれます。
きっとこの川風が松戸を涼しくしているから、たくさんのハグロトンボに出会えることができたのですね。
生きものの目線で松戸を見直すことで、たくさんの発見がありました。
特に子供たち以上に保護者の方の驚いている様子が印象的でした。

10月15日

4年生80名と一緒に再び坂川へ。
この日はハグロトンボに出会えた夏とは違い、アキアカネなど、トンボ種種類も変わり、生きものに季節の変化を実感しました。
坂川での生きもの探しでは、はじめは川の中に入るのに少し抵抗があった子ども達もいつの間にか夢中で水の中に!
今回初めて野外観察に参加した子供達も、自分達の住んでいた松戸にたくさんの自然が残っていることを感じてくれたのではないかと思います。

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12月9日

2グループに分かれて商店街をめぐり、昔の松戸について聞き取りを行いました。
今回お話を聞かせていただいたのは呉服屋、瀬戸物屋、お米屋、節句人形屋、薬局屋、天丼屋、など多種多様な職業の方々。
子ども達が直接お店に行き、昔の松戸や坂川、江戸川の様子、川風やハグロトンボについてなど、子ども達の質問を交えながら聞き取りを行いました。
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昔の坂川や江戸川にはたくさんの生きものが住んでいたこと、トンボが飛んでいて捕まえて遊んだことなど、何十年も松戸で過ごしたからこそ聞ける、大変貴重なお話ばかり。
真剣な表情で話を聞く子ども達のワークシートは、白い部分がないくらいびっしり書き込まれていました。
また、実際に明治初期より使われていた家で、風が家の中を通るように工夫された家のつくりや、間口が狭く、東西に奥行きが長い家のつくりなど、風をうまく利用した昔の人の暮らしを実感できました。

2010年1月28日

これまでの取り組みを振り返りながら、ハグロトンボ地図と風向きの地図をまとめました。
子供たちからはハグロトンボがすみやすい街になるよう、次々とアイディアが・・・!

2月8日

前回の授業ででたアイディアをまとめ、提案の中間発表を行いました。ハグロトンボの日の制定や、駅前の歩行者天国、雨水を使っての打ち水、緑のカーテンなど、大人では思いつかないユニークな提案ばかり!いよいよ次は発表です!
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2月24日

聞き取りの際に、お世話になった商店街の方も提案発表を聞きにきてくださいました。
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緊張気味の子供たちも他のの提案を聞くにつれ、それぞれの意見が飛び交いました。
また、子供たちの発表に商店街の方も非常に感心され、「これなら協力するよ!」など、今後の提案の実現にむけ大きな一歩となる発表会となりました。
子供たちはまちづくり学習を通して、松戸のよさを知り、そのよさをもっと他の人にも知ってほしいという気持ちになりました。
そのような子供たちがいることは松戸のまちづくりの大きな原動力となります。
そして、子供たちの提案を小さなことからでも実現していくことが、まつどのまちづくり、子供たちの夢の実現へとつながります。
私たち大人も、実現へのお手伝いをすることで、子供たちが描いてくれた夢に乗っかっていきたいと思います!

松戸の繁栄を支えた川と風~川風を感じるまちづくり「オハグロトンボの日」

川と風が松戸のまちをつくり、人々の暮らしや文化を育んできた。
だから、人々は川風を感じるときに、いつでも、このまちの原点に回帰することができる。
いま、環境の時代を迎えて、人々は再びまちの原点を振り返る時が来た。
再び、川と風を活かしたまちづくりに帰る時が来た。
松戸には川風を感じるまちづくりのパートナーがいる。それは、坂川や江戸川で生まれる黒くて華奢なトンボ。通称オハグロトンボ。
このトンボは暑さに弱く、街中の木陰や路地や庭などの涼しい場所を求めて暮らしている。
涼しげにひらひらと優雅に飛ぶ黒いトンボを案内人に、川風を求めて街中を歩けば、さり気なく涼しさを演出する家や店に出会い、どこか残る江戸の風情が蘇るかもしれない。
まちの小学校では、子ども達が松戸の川と風を活かしたまちづくりを考えた。
そこで、生まれたアイデアが「オハグロトンボの日」だ。
子ども達の豊かな感性に刺激された地域の大人たちが「オハグロトンボの日」制定に向けて動き出した。
涼しげな風情でひらひらと飛ぶとんぼと対話しながら進めるまちづくりが始まる。

2010年4月8日  アサザ基金 飯島 博

ハグロトンボの日のはっつぁん

「おっ、はっつぁん。暑い日に打ち水とはありがたいね。」
「おい、くま。お前オハグロトンボってぇのを知ってるか。」
「何だ!そのオハグロてぇのは、お歯黒のことか。」
「違うよ。涼しげな風情でひらひらと飛ぶ黒くて華奢なとんぼのことさ。」
「へぇー。だからどうしたってんだ?」
「だから、打ち水してんだよ。こうしてやると、涼しげでひらひらしたのがやって来るんだ。」
「すると・・、そりゃどういうことなんだ。」
「オハグロトンボは、涼しい川風に乗って、ひらひら飛びながら街中の涼しい所を探しながら暮らしているんだ。だから、こうやって打ち水をして涼しい場所を作っているのさ。」
「そりゃいい!涼しげな風情のひらひらが松戸の街中に増えれば、わしら人間様もありがたいってわけだ。おや、そういえば、あっちでもこっちでも打ち水してるな。」
「くま、知らないのか。今日は子ども等の提案でハグロトンボの日になったんだ。だから、街中で打ち水やったり、車やクーラーを止めたりして、松戸を涼しくしているんだよ。」
「よしゃ!わかった。打ち水しておれの宅の庭にも、涼しげな風情のひらひらを呼ぶとするか。」

 
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