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環境学習

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子どもたちには、大人には感じ取れないことを感じ取る力があります。
子どもたちには、大人には考えることができないことを考えることができます。
子どもたちには、大人にはできないことができるのです。
だから、難しい問題を解決に導くことができた大人や、みんなが不可能だと思っていたことを可能にした大人は、みんな子ども時代からの夢を持ち続け、子どもの頃の自分が大人になってからも心の中で生き続けているのです。
アサザプロジェクトでは、子どもたちが持っている力をひとりひとりから引き出しています。
子どもたちが、地域の生き物や自然から様々なことを感じ取る力を養います。
身近な環境問題から地球環境問題まで、自分が住んでいる地域の特色や良さを生かすことから解決に導く方法を考えだすことができる力を育てます。
アサザプロジェクトの環境学習は、まず「生き物とお話する方法」を学ぶことから始まります。
生き物とお話をするということは、生き物から様々なことを感じ取る心を持って、生き物になったつもりで身近な環境を見直すことができる力を身につけるということです。
そのような力を身につければ、人間が環境を悪くしたり壊したりした影響で困っている生き物たちの声が聞こえてくるようになります。
生き物たちの声が聞こえるようになれば、生き物たちを困らせている原因を考え、無くす方法を考えることができるようになります。
そうやって生き物とお話ができる人が増えていけば、自然を壊したり水を汚したりしないように、生き物たちと相談しながら町や地域をつくっていくことができるようになります。
アサザプロジェクトでは、将来大人になってもそのような町づくりや地域づくり、国づくりをすることができる子どもたちを全国各地で育てています。

子どもは大人とくらべて知識が少ないかもしれませんが、大切なことは今自分が持っている知識を生かしていくことです。
少ない知識でも、それらの知識を集めて自分の方法で結び付けていくことができれば、アイデアや知恵が生まれます。
逆に、たくさんの知識をもっていてもばらばらなままで自分の力でそれらの知識を組み合わせたり結び付けたりできない人からは、アイデアや知恵は生まれてきません。

子ども時代に、自分がもっている知識を組み合わせたり結び付けたりする経験をしていない大人は、知識を多く持っていても生かすことができないただのものしりになってしまうので、自分で社会に働きかけることができません。
これでは、困難な課題や答えの無い問題に取り組むことができません。
だから、アサザプロジェクトでは多くの子ども達に知識を自分で組み合わせ社会に働きかける力を身につけてもらうために、全国各地の小中学校で出前授業をやったり地域の担(にな)い手つくり塾をやったりしているのです。

自然再生

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人間は、これまで世界中で自然環境を壊したり傷つけたりして多くの野生生物を絶滅に追いやってきました。
人間が原因で引き起こした環境破壊は、人間の責任でもとの自然に戻していかなければなりません。
そのことを、自然再生と言います。自然が再生すると、野生生物も戻ってきます。
自然は傷つけられても自分でも回復する力があります。それが、自然が再生するということです。
ところが、そのときに人間が自然を傷つけることをやめず、自分の力で再生しようとする自然の邪魔(じゃま)をすると、自然はもとのように回復できず野生生物も戻ってくることができません。
だから、自然再生を実現するためには、ただ単にビオトープなどの生き物のすみかになる場所をつくるだけではなく、再生しようとしている自然のに影響を与えている
人間社会のあり方を変えていくことが大切です。
霞ヶ浦で絶滅にひんしているアサザという水草を守る活動も、そのような考え方で行っています。
アサザが再生しようとしているのを、妨(さまた)げているのはやはり人間です。
国土交通省という役所が、霞ヶ浦でアサザの苗が育つのに必要な水辺をコンクリートの護岸工事(ごがんこうじ)で壊したり、霞ヶ浦の水を人間の都合で人工的に増やしたり減らしたりしたために、アサザはどんどん減っています。
このままでは、アサザは絶滅してしまうので多くの人たちにアサザを育ててもらったり、国土交通省にアサザが再生する妨害(ぼうがい)を止めるように働きかけたりしています。

社会を変える

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霞ヶ浦に豊かな自然やきれいな水を取り戻すためには、わたしたちの社会を変えていくことが必要です。
地球環境を守っていくためにも、社会を変えていくことが必要です。
霞ヶ浦は地球の一部です。
だから、霞ヶ浦で環境を守る取り組みが実現すれば、それを地球全体に広げていくことも可能です。
つまり、社会を変えるということは、みんなが今立っている足下から自分で考えや自分の方法で変えていくということなのです。

自分自身や自分が生活している地域の中から特色や良さを引き出して、それらを地域や社会に生かすことができなければ、社会を変えることはできません。
自分を変えることができない人に、社会を変えることはできません。
そのために自分が変わること、それが学習することの意味です。
そして、学習をして得た知識や経験を生かして社会に働きかけていくことで社会を変えていくことができるのです。
そのような生き方ができれば、君がいま学校などで学んで得た知識の多くが社会を変えるために生かせるはずです。
アサザプロジェクトでは、子どもも大人も一緒になって地域の特色や良さを知り、それらを生かした町づくりや環境問題の解決方法を考え実現させていくことで、新しい社会をつくっていきます。

循環型社会(じゅんかんがたしゃかい)

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自然の中では、生き物も土も水も空気もすべてのものがつながり合っています。
だから、自然の中にはそれらのつながりを通しての循環があります。
ところが、人間がつくった社会は自然のような大きなつながりがありません。
人間には、つながっているものをばらばらに分けて考える習慣があります。
たとえば、みんなが知っている国語や算数、理科、社会という教科も、分けて考えるやり方です。
わたしたちの社会も、いろいろなグループに分かれて、それぞれに違う仕事や活動をしています。
それらのグループ同士のつながりはほとんどありません。
このことを縦割り型社会といって、多くの問題が生じています。
大人たちは、この縦割り型社会を変えようとしていますが、なかなか変えることができません。
社会の中がたくさんのグループに分かれていてつながりがあまり無ければ、自然の中のようなつながりを通した循環も生まれません。
自然の中では、すべてがつながり循環しているので、ゴミは生じません。
反対に、人間の社会ではつながりが少なく、多くのものが循環していないので、大量のゴミが発生してしまうのです。
また、ばらばらに分かれて資源を使い捨てるので、エネルギーをたくさん使ったり資源を無駄遣いしたりしています。
このようなことを人間が続けていると地球環境を破壊してしまいます。
そうなっては困るので、多くの人たちが循環型社会を作ろうとしているのです。
そのためには、もっと人間は自然からつながりや循環の仕組みを学び、自然から得た知恵を生かした地域づくりや生き方を実現していくことが必要です。
昔の人たちは、現在よりも自然から得た知恵を生かした暮らしをしていました。
だから、昔の社会は循環型でした。
昔の人たちから学ぶことも、たくさんあります。
アサザプロジェクトでは、自然からつながりや循環を学ぶ環境学習や、社会の縦割りを越えていろいろなグループや人たちがつながり合うネットワークをつくる取り組みをとおして、循環型社会の実現をめざしています。

地域活性化

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地域のことは、大学の先生や東京にある大きな役所の人たちよりも、その土地に住んでいる人たちが一番よく知っています。
地域活性化というのは、それぞれの地域に眠っている宝物を地域に暮らす人たちみんなで探し出し、それらの宝物を使って物語をつくる取り組みです。
地域に眠っている宝物は必ずしも珍しいものではありません。みんなが暮らしている地域に、当たり前のようにあるものが、宝物に変わるかもしれません。
もしも、君たちが地元にあるふつうの当たり前のものを宝物に変えることができたら、地域全体を宝物に変えることができます。
そのためには、当たり前に見えていたものに魔法(まほう)をかけることが必要です。魔法のかけ方は、その地域地域でちがうのです。
魔法をかけられるようになるには…
1. 他の地域でうまくいったことをまねしないこと
2. 自分の方法で考えること
3. 地域を色々な生き物や昔の人になったつもりで見直してみること
4. 地域を支えているつながりを再発見すること
5. 研究者や専門家の意見を参考にすること
この5つです。
アサザプロジェクトでは、このように地域に魔法をかけることができる人たちを増やすために、全国各地の小学校で出前授業をしています。
もちろん、社会をより良く変えていくためにです。君にも魔法をかける力があります。自分の地域でもお宝さがしをやってみよう。

企業との協働

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アサザプロジェクトには、多くの企業が参加しています。
企業との恊働というタイトルですが、恊働という言葉は、協同とはちがいます。
協同はだれかとだれかが同じだから一緒に何かを協力してやることです。
それに対して、恊働はだれかとだれかが違っているからその違いを生かして一緒に何かを協力してやることです。
つまり、協同は同じであることを、恊働は違いがあることをそれぞれ大切にしています。

企業はわたしたちの社会の作り手のひとつです。
企業がこれまでのように環境を壊す企業から、環境を守り再生する企業に変わらなければ、社会をより良い方向に変えていくことはできません。
でも、企業と企業が協力し合っていても、お互いに同じような考え方をするので新しいアイデアや解決方法はなかなか思い付きません。
自分たちとは違う考え方をするもの同士が出会うと、それぞれに自分が気付いていなかったことに気が付き、新しいアイデアや解決方法が見つかるのです。
アサザプロジェクトは、そのようにして違う考え方をする社会の中のグループや人たちが自由に出会って、そこから社会を変える新しい考えや方法を生み出す場になっています。
アサザプロジェクトでは、お互いに違う考えや方法を持っている企業とNPO(アサザ基金)が組んで、お互いの違いを生かしながら協力し合い、これまでは誰がやってもうまくいかなかった難しい問題や課題に取り組んでいます。
企業には、多くの人材や知識、技術が集まっています。でも、それらの知識や技術を霞ヶ浦の再生や自然と共存する町づくりに生かす方法を、多くの企業は知り ません。だから、NPOアサザ基金は様々な企業と恊働することで、霞ヶ浦再生などに企業の力を生かそうとしているのです。

市民型公共事業

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みなさんは、公共事業という言葉を耳にすることはありませんか。
とくに、最近は東日本大震災や津波被害からの復興などで、この公共事業という言葉をよく聞くと思います。
公共事業は、地域で人々が安心して暮らせるように必要な物を作ったり維持したりする事業です。
公共事業は、国や県や市町村などが中心になって行います。しかし、公共事業をめぐっては、全国各地で様々な問題が起きています。
公共事業によって、地域の自然がこわされたり、必要の無いだれも使わない施設が作られたり、地域の人たちの暮らしをこわしてしまったり、いろいろな問題が全国各地でおきています。
霞ヶ浦も1970年ころから盛んに行われた公共事業が主な原因で、湖の自然が大きくこわされ、水が汚されてしまいました。このままではいけないと考えている大人も多くいるのですが、なかなか変えることができません。
公共事業は、みんなが出したお金(税金)で行われています。税金は大人だけが払うものだと思っていませんか。
実は、君たち子どもも税金を払っているのです。
お菓子やおもちゃを買ったりする時に、お店の人に出すお金(値段)の一部に税金が含まれているのです。
その税金の名前も聞いたことがあると思います。
消費税といいます。
国は、この消費税を増やそうとしています。そして、公共事業などの役所が使うお金を増やそうとしているのです。
しかし、今まで公共事業で自然をこわしたり、原発事故をおこしたり、ムダなことをたくさんやってきた役所が使うお金を増やしていったらどうなるのでしょうか。このまま公共事業を役所の人たちにだけまかせておいていいのでしょうか。
公共事業を変えなければ、自然を守ることも、地域を良くしていくこともできません。
それは、政治家の役割ですが、今の政治家の多くはその努力をしていません。
大人たちが選挙で、公共事業を変えようとする候補者(こうほしゃ)に投票するようにならなければなりません。
君たちが大人になって投票をすることになったら、ぜひ公共事業を本気で変えようとする候補者を選んでください。
そして将来政治を志す人は、ぜひ公共事業や役所を本気で変えようとする本物の政治家になってください。

公共事業を変えられない理由は、政治だけではありません。
公共事業は、ばらばらに何でも分けて仕事をする(縦割りと言います)役所が中心になって行うので、事業もばらばらです。
役所の人たちは、自分が担当した一部分しか責任を持とうとしません。
自分に関係のない仕事はしようとしません。
地域全体のことを考えずに、一部のことだけを考えて仕事をするので、地域全体のつながりをこわしたり、自然をこわしたりするのです。

いまの公共事業を変えることができなければ、霞ヶ浦の再生も全国の自然を守ることも、社会を変えることもできません。
そこで、アサザプロジェクトが始めたのが市民型公共事業です。
市民やNPOが地域全体にひろがるネットワークをつくり、その中に役所も入って公共事業をやっていくという考えです。
いままでの役所中心の公共事業とはちがい、地域の人たちのアイデアや知恵や経験を生かした公共事業を少しずつ行うことができるようになります。

アサザプロジェクトは、これまでに国などの役所と恊働で公共事業を行ってきましたが、これまでの公共事業とはちがい霞ヶ浦や地域全体のつながりを生かしながら多くの市民が参加する市民型公共事業を実現することができました。
まだ、不十分ですが、このような市民型公共事業を増やしていって、霞ヶ浦を再生し社会を変えていきたいと思います。

生物多様性(せいぶつたようせい)

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毎日地球上では多くの生物が絶滅しているといわれています。
君たちが暮らしている地域にも絶滅しそうな生き物たちがいるはずです。
アサザプロジェクトの環境学習で生き物とお話しする方法を学んでいくと、生き物たちの目で地域を見直すことができるので、環境がこわされて困っている生き物がいることや、困っている理由がわかるようになります。
生き物とお話ができるようになってくると、生き物たちが自然の中の様々なつながりを支えに生きていることもわかってきます。
地球上にはいろいろなとくちょうを持つ土地があります。
そして、日本の中にも、みんなの町の中にもいろいろなとくちょうを持つ土地があります。
生き物たちは、まず自分が暮らす土地とのつながりを持ちます。土や石や水や風・・・などとつながりを持ちます。
そして、同じ土地をすみかにする他の生き物たちともつながりを持ちます。
それぞれの土地には、それぞれに様々なたくさんのつながりが生まれます。
このつながり全部を、生態系と言います。
けれども、この自然の中のつながり全部(生態系)を本当に知っている人はまだいません。
それほど自然は多様でふくざつなのです。
このような生態系に支えられ様々な種類の生き物がくらしていくことができます。
そのことを生物多様性といいます。

生物多様性は、ただ単にたくさんの種類の生き物がいるという意味ではありません。
それぞれの土地によって、生物の種類やつながりはちがうのです。
生き物たちと土地や環境とのつながりや関係は、長い時間をかけてできてきたものです。
そのようなことを良く理解せずに、人間が土地の環境を変えてしまったりこわしてしまうと、多くの生き物たちを支えてきたつながりが失われてしまい、その結果、多くの生き物が減ったり絶滅したりすることになります。
またそれ以外にも、人間が外国などの遠くの土地に住んでいた生き物をかってに連れて来て放したりすると、その土地の生き物たちを支えてきたつながりがこわされてしまうことがあります。それを外来種・移入種問題といいます。
アサザプロジェクトでは、各地の学校での授業でその土地の自然環境や生き物たちのつながりや関係を子どもたちと学び、その土地にもともといた生き物たちを守っていく活動をしています。
子どもたちがおこなう生き物とお話しする学習やビオトープづくり、地域ブランドづくりや町づくりの総合学習も生物多様性を守ることにつながっているのです。
生物多様性を学ぶと、自然の中にさまざまな違いをもった生き物達が結び付きながらいっしょに暮らしている意味がだんだんわかってきます。
そのことは、君が人間の社会を考えるときにも役に立つはずです。
学校や家、会社などで、ひとりひとりの人間の違いをもっと生かして協力し合うことができれば、みんながもっと良い生き方ができて創造的に楽しくなれるからです。

 
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