霞ヶ浦での外来種(移入種)対策の実施を求める要望書について(回答)ー本文
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広   第  11 号
平成15年 1月 9日

霞ヶ浦・北浦をよくする市民連絡会議事務局長
特定非営利活動法人アサザ基金代表理事
飯 島  博  殿

茨城県知事  橋本 昌

霞ヶ浦での外来種(移入種)対策の実施を求める要望書について(回答)

平成14年12月6日付け提出のあった上記について,下記のとおり回答いたします。

霞ヶ浦対策(1~8)について
国外や国内の他の地域から人為的に持ち込まれた外来種・移入種は,地域固有の近縁な種や同種の個体群との交雑の進行,他の種の捕食や生息の場の占奪等により,生態系の携乱や農林水産業に対して支障を与えるおそれがあるといわれております。
県といたしましても,霞ヶ浦の自然環境がより良い状態で維持されることが重要であると認識しており,この外来種・移入種問題につきましては,国や地元市町村,土地所有者や管理者,漁業関係者など行政機関や事業者が幅広く関係していることから,各関係者が一体となって対応していく必要があると考えております。
こうしたことを踏まえ,今後,外来種・移入種問題について検討してまいりたいと考えております。

漁業対策関連のうち
3について
霞ヶ浦北浦においては,平成5年度より対策を講じてきており,ブラックバスについては系外への移出,ブルーギルについては駆除を主体として事業を実施しています。
特にブルーギルについては平成8年度より有害動植物除去事業を実施し,平成13年度までに567.8トンを駆除しました。また,平成14年度には対象魚種にアメリカナマズを加え,合計103トン(ブルーギル83トン,アメリカナマズ20トン)の駆除を予定しています。

4について
外来魚の移植禁止につきましては,在来魚種を保全し水産資源を維持増大する観点から,平成10年に霞ヶ浦北浦海区漁業調整規則及び内水面漁業調整規則を改正し,ブラックバス及びブルーギルの移植(卵を含む)を禁止する規定を設けたところであります。また,平成14年3月には,新たにストライパー(ストライプドバス,ホワイトバスその他のモネロ属の魚及びそれらを交配した魚)についても規制の対象に加えました。
外来魚の移植禁止については,ラジオや県広報媒体による広報を行なうとともに,県,霞ヶ浦北浦周辺市町村,関係漁業団体,遊魚関係者で構成する霞ヶ浦北浦湖面利用協議会において,パンフレット等の配布,広報車によるスピーカー広報,遊魚者へのマナーの向上・外来魚の移植放流禁止啓発のための看板の設置を行ない広報啓発に努めているところです。今後とも外来魚の移植禁止について啓発を行ってまいります。

5について
既に,牛久沼,霞ヶ浦北浦,大北川等,県内の主要河川湖沼で調査を行っていますが,平成14年度から外来魚生態系影響調査事業により,霞ヶ浦北浦でのブルーギルの生態調査と現存量抑制方法の検討を行っています。この調査は平成18年までの5ヶ年事業で,生態調査のなかでブルーギル・アメリカナマズ等外来魚の分布なども調査しています。

7について
外来魚については,平成9年度から霞ヶ浦北浦漁場環境美化計画策定委員会を設置し,駆除計画等を検討し,その計画に基づいて駆除事業を実施しているところです。

9について
霞ヶ浦北浦におけるブラックバスにつきましては,漁業者による湖内からの回収をはじめ,通常の漁獲行為による間引きなどが行われているほか,霞ヶ浦北浦湖面利用調整協議会等におきまして,遊漁者の方々に対し,釣ったブラックバスを持ち帰るなど,再放流しないように協力をお願いしているところです。
併せて,平成10年度には茨城県霞ヶ浦北浦海区漁業調整規則等を改正し,水産資源の保護培養のため,ブラックバスの移植禁止の規制措置を講じています。
ブラックバスについては,昭和60年代と比べ減少しており,近年では張網で漁獲される量も極わずかとなっております。また,これに伴いバスを対象とする釣客も減少しているところです。
霞ヶ浦北浦において漁業とレジャー活動とのトラブルを未然に防止し,両者が調和をもって共存するためには,相互理解が不可欠です。ブラックバスを取り巻く現況を勘案すると,キャッチアンドリリースを法的に禁止することは,現段階においては遊漁者等広く県民の理解を得ておらず,また,実行性等の面での課題もあります。
以上のことから,県といたしましては,ブラックバスのキャッチアンドリリース禁止について条例で規制を設ける必要は,現状ではないと考えております。今後とも資源動向を注視しながらブラックバスの持ち帰りに協力するよう啓発指導してまいります。

 
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