谷津田とは?
谷津田(やつだ)は、谷地にある田んぼのことです。
霞ヶ浦・北浦流域には、大きな川や山地がないので、谷津田は重要な水源地です。
流域に1000ヵ所以上あると言われています。
大型の流入河川のない霞ヶ浦・北浦では、この谷津田のひとつひとつが大切な水源となっています。
谷津田は様々な環境でなりたっています。
谷には水田。
谷を囲む斜面には雑木林。
台地の上には畑や草原、雑木林、杉林などがあります。
また、谷津田の入口には必ず集落があります。
ひとつの谷津田が集落に住んでいる人々を支えていました。
田んぼではお米、畑では作物が実り、食べ物を得ることが出来ます。
また、田んぼでは藁が、林や森では落ち葉、下草、間伐材などが生まれ、それらを堆肥にする、生活品を作るなど、さまざまな利用をしながら生活していました。
これらの資源を大切に繰り返し使うことで、農地や生活を維持してきました。
谷津田は集落の人々にとって、共に暮してきたパートナーなのです。
水の道、生きものの道
谷津田は「水の道」です。
谷津に雨が降ると、台地上の森や斜面の雑木林に蓄えられます。
そして、その雨は少しずつゆっくりと、谷ににじみ出し、湧き水となって湧きだします。
天の恵みであるこの水をみんなで大切に使うために、湧きだす場所にはため池が作られています。
ため池の下には谷津田があります。
豊富な湧き水を利用して田んぼでお米作りをしています。
米作りが最初に始まったのは谷津田だと言われているのは、そのためです。
田んぼや人々の暮らしで大切に使った水はその後、川へ流れ込み、やがて湖へと流れます。
また、谷津田は「生きものの道」でもあります。
集落の人々は、谷津田から得られる落ち葉や、間伐材などの資源をくりかえし大切に使いました。
その資源を得るために、人々は定期的に山や田んぼに入り、作業をしてきました。
その結果、谷津田にはよりきめ細やかな環境のちがい(多様性)が生まれました。
この環境のちがいを利用して、トンボやゲンゴロウなどの昆虫や、カエルなどの両生類、魚、鳥、植物などさまざまな生きものが暮らしています。
人々の自然に対するほどよい関わりが、生物の多様性を育んでいるのです。