アサザプロジェクトオリジナル酒「広がれあさざの夢」とは
アサザプロジェクトでは霞ヶ浦にトキを呼び戻すことを目標に、トキの生息が可能となるよう流域全体の保全を目指しています。
そこで、2004年から霞ヶ浦の重要な水源である谷津田の再生に取組んでいます。
再生された谷津田で収穫した酒米を地元の酒蔵が日本酒に醸造し、地域ブランドとして販売しています。
それがオリジナル酒「広がれあさざの夢」です。
収益の一部は湖の再生事業に使われ、消費者はお酒を買うだけで自然再生に参加できるというしくみになっています。
地域に根差し、文化の一部となっている伝統産業と、アサザプロジェクトが出会い、新な付加価値が生み出されたのです。
トキの生息を可能にするには、流域全体を含めた広範囲の保全が必要です。
広域の自然再生、保全を実現する為に、アサザプロジェクトという新たな取り組みは、流域に広く点在する地場産業や農家と連携し、独自のビジネスモデルを構築するなどして取組みの輪を広げていきます。
この取組みは高く評価され、2009年に(財)イオン環境財団と環境省によって創出された「生物多様性日本アワード」にて、第1回グランプリを受賞しました。
アサザプロジェクトオリジナル酒「広がれあさざの夢」の特徴
流域の100ヶ所以上に広く分散している水源地(谷津田)の保全は、従来行政が行ってきた問題解決型の施策では解決困難な課題です。
谷津田と同じように、酒蔵も流域に点在していることから、それらが持つ地域のつながりを活かす事で流域全体の保全が可能となります。
また、ビジネスモデルを構築する事で、単年度予算事業とは異なり、継続・発展的に事業を行うことができます。
このようにアサザプロジェクトは価値創造型のビジネスモデルを考え、民間主導で問題を改善する方法を提案しています。
アサザプロジェクトオリジナル酒「広がれあさざの夢」の効果
・この取組みによって、これまで霞ヶ浦・北浦流域で10か所の谷津田を再生し、ホタル、トンボ、タカなど多くの生物を呼び戻すことができました。
・県内の多くの酒蔵メーカーもこの取組みに関心を示しています。
・消費者が商品を手にする事で、環境問題に目を向けるきっかけになります。さらに商品の購入を通して実際に再生事業に貢献する事ができます。
アサザプロジェクトオリジナル酒「広がれあさざの夢」の活動内容
流域の谷津田で生物多様性に配慮し、無農薬、無化学肥料で米を栽培しています。
その米を石岡市の白菊酒造株式会社、取手市の株式会社田中酒造店、潮来市の愛友酒造株式会社で醸造してきました。
販売は地元の大手スーパーマーケットであるカスミなどで行っています。
収益の一部は水源地再生活動に活用されています。
今後、流域にある数十の酒蔵、農家と連携し、取組みを広げていきます。
⑤地域活性化・・・流域の文化に根ざした伝統産業が、湖の再生やトキの野生復帰という夢を地域の人と共有する事で、伝統産業に新たな価値が生まれ、産業全体、流域全体が活性化します。
環境教育・・・ブランドデザイン、企画には地元の小学生も関わっています。単に現状課題を学ぶだけでなく、地域の人、農家が夢を共有する事で、課題を解決できるという事を当事者として体験できます。
社会を変える・・・取組みよってできた日本酒が社会に評価されることで、自然再生や生物多様性保全が一つの価値として、人々の暮らしの中に浸透します。自然再生が地域経済システムの中で評価されるという画期的な手法です。この手法を流域各地にある他の地場産業にも応用していきます。
企業との協働・・・都市の企業と地域の酒蔵メーカーが、流域の谷津田を再生する事でこのブランドができました。今後さらに酒蔵、農家との連携を増やし、さらなるブランド価値の向上を図ります。
循環型社会・・・水源から湖に至る水系、流域全体の水循環システムと重なり合うビジネスモデルを構築しています。行政主導による単年度予算事業と異なり、ビジネスを継続・発展させる事で、流域全体を視野に入れた保全が可能になります。
自然再生・生物多様性・・・この取組みは部分的、局所的に保護区を設置するのではなく、生態系の一つの単位である水系・流域全体の生物多様性保全を目標にしたモデルです。ビジネスモデルにすることで、従来の保全事業にはない広範囲の保全が実現します。