衛星画像を活用した総合学習プログラムによる霞ヶ浦流域管理システムの構築 ~宇宙から流域を見つめよう!~
霞ヶ浦をはじめ全国の湖沼や河川では流域管理システムの構築が重要な課題となっています。
しかし、行政の縦割りが事業の広域展開や総合化の障壁となって、実現が困難な状況にあります。
アサザプロジェクトでは、この流域管理システムの構築を地域コミュニティのネットワーク化によって実現しようとしています。
水質汚濁が問題化している霞ヶ浦を考える際、流入負荷(マイナス要因)に目がいきがちですが、湖の環境を支える流域全体の水源地の水田(プラス要因)としての機能の健全度については、忘れられがちです。
大河川の流入が見られない霞ヶ浦を支える「水源」は、流域に無数に存在する「谷津田」です。
にもかかわらず、その「谷津田」では、近年、耕作放棄が目立ち、水質保全や治水に対する悪影響が懸念されています。
ところが、「谷津田」の一つ一つを抽出し、水源地としての「質(水循環の健全性や連続性)」とその変化を把握することは困難です。
それには、流域の全体像を人々に示し、水源地(水田やため池、森林)保全への理解を深め、霞ヶ浦の水質保全に向けた行動を促すことが必要です。
人々のとる行動の一つ一つが、未だ構築されていない流域管理システム(「水源」の全体像を把握するシステム)を具体化につながると考えます。
アサザ基金は(財)リモート・センシング技術センター、牛久市教育委員会と協働で流域全体を面として捉え、マイナス要因(流入負荷)の削減でなく、プラス要因(水源地の質)を保全・再生してゆく手法の開発を行います。
牛久市内の谷津田をモデル地区として、生態系現況調査と連携させた学習プログラムを実施していますが、今後流域全体に広げる計画です。
現在は衛星画像から湧水のある谷津田の地点を抽出し、小中学生が実際に現地を調べて、データ(アカガエルの産卵など)を集める作業を行っています。地域コミュニティの機能を生かした新しい衛星利用の可能性を提案しています。
2003年からはNEC(日本電気株式会社)が開発した太陽電池で駆動し環境情報(温湿度や画像等)を無線で送ることのできるセンサーネットワークシステム(アドホック・マルチホップ通信技術)を使い霞ヶ浦流域の環境情報を日常的に収集するシステムを共同開発しています。
流域の各学校を中心にカエルの移動を想定した形で、学区内のハビタットにセンサーを設置していく総合学習を行い、学区内で子ども達が集めた生物観察記録や環境情報をITを使って日常的に流域全域の学校ネットワークで共有する試みです。
これが実現すれば、流域という空間的広がりと日常という時間的連続性を持ったこれまでにない質と量の環境データを収集できます。
◆人工衛星画像を活用したプログラム
衛星画像から湧水のある谷津田の地点を抽出し、小中学生が実際に現地を調べて、データ(アカガエルの産卵など)を集める作業を行っています。
地域コミュニティの機能を生かした新しい衛星利用の可能性を提案しています。
◆ネットワークセンサー(ウェザーバケット)
学校ビオトープや花壇などに設置。
集まってくる生きものや、成長する植物の観察記録とデータを活用して、新しい環境学習を提案。
地域全体の環境モニタリング活用など。
遠隔地域の子供たちがパソコンネットワークを通してデータ情報交換なども行なっています。