息を吹き込んでみよう、そうっと
そうっと、
息を吹き込んでみよう
そうっと、
碧く光る湿った息が
都市に眠る竜にとどくように
息を吹き込んでみよう
ほっぺをふくらませて
海の息を風船に思い切りいっぱい
息を吹き込んでみよう
言葉を繋ぐ鎖がとけるように
揺らしてみよう衝動の小舟にのせて
息を吹き込んでみよう
リーフの波紋が珊瑚に映るように
都市をおおう震えるリゾームになって
息を吹き込んでみよう
目覚めた竜がひげを動かすように
そうっと
ミツバチはささやく「わたしの壁は溶ける」
わたしは、都市の片隅でひそかに壁をつくる。
ビルの谷間に咲く小さな花をさがし求めるために
わたしは壁の中で生まれた。
でも、わたしの壁は溶ける。
壁は溶けてかすかな虹になる。
わたしは、都市の片隅でひそかに壁をつくる。
季節に移ろう花々の証をとどめ置くために
わたしは見知らぬ花々を結びつける。
でも、わたしの壁は溶ける。
壁は溶けて灯をともす。
わたしは、都市の片隅でひそかに壁をつくる。
まちを読み替え、見知らぬ花と出会うために
わたしはふるえる、無数の羽音の中で
わたしの壁は溶けて音をうるおす。
壁が溶けて音楽を奏でる。
わたしは、都市の片隅でひそかに壁をつくる。
忘れられた竜をよびもどすために、唇に虹をかける。
わたしは蜜をつくる。虹のように甘い
わたしの壁の中では虹色の竜が育つ。
壁は溶けて空に竜を描く。
わたしは、都市の片隅でひそかに壁をつくる。
でも、わたしの壁は溶ける。
震えるわたしの言葉の中で
壁は溶けて
色とりどりの光る膜にかわり
風船になる。
(風船トークin原宿 2011.6.11)
宮古島と多良間島からゲストを招き、原宿で自由k気ままに語り合った。













