しょうゆで自然とつながろうプロジェクト

日立化成株式会社・柴沼醤油醸造株式会社 協働事業 「しょうゆで自然とつながろうプロジェクト」

① 概要
霞ヶ浦の地域特性を活かした伝統産業である醤油づくりを通じて霞ヶ浦流域の自然再生を実現し、出来上がる醤油のブランド化を進めることで霞ヶ浦と地場産業とのつながりを取り戻すことで地域活性化を進める取り組みです。最先端のものづくりを行う日立化成株式会社と伝統的なものづくりを行う柴沼醤油醸造株式会社と環境NPOのコラボレーションによる新しいブランド醤油づくりの取り組みです。また伝統産業との協働によってアサザプロジェクトをより地域に根差したものにしていきます。
この取り組みは、2012年に日立化成株式会社のみなさんと荒れてしまった畑(耕作放棄地)を再生し、霞ヶ浦の外来魚を肥料(魚粉)として活用し、無農薬無化学肥料で大豆づくりに取り組みました。霞ヶ浦の外来魚からできた肥料を活用することで、霞ヶ浦の生物多様性の回復と漁獲を通じて水質の改善・漁業の活性化につながる取り組みにも寄与しています。(関連:霞ヶ浦の外来魚対策事業)収穫できた大豆は江戸時代から続く土浦の醤油蔵(柴沼醤油醸造株式会社)で醤油に醸造していただきます。醤油造りは土浦を代表する伝統産業(醤油蔵のある土浦は醤油造りにおいて江戸時代から続く関東の醤油三大醸造地のひとつです。筑波山周辺に広がる平地で大豆が栽培され、出来た醤油は舟運で霞ヶ浦、そして利根川を通り江戸に運ばれ、食卓を彩ったそうです。)であり、醤油造り、および出来上がる醤油の活用を通じて土浦を、そして霞ヶ浦を復活させるブランドとして展開していきます。そのために地元小学生とのブランドづくりの学習活動も展開していく予定です。

s高瀬舟 s醸造蔵

② 特徴
醤油造りは霞ヶ浦、土浦の地域特性を象徴するものづくりです。自然と共存する新しい社会を構築するアサザプロジェクトと古くからの伝統産業とのコラボレーションによるこの取り組みでは、きれいな水を湛え、活気にあふれる霞ヶ浦の復活を目指し、霞ヶ浦ブランドの醤油作りに取り組んでいます。そのために企業さんとの協働事業の枠組みの中に小中学校での学習までが明確に位置づけられている特徴的な取り組みです。
この取り組みの協働相手である日立化成株式会社は茨城にゆかりのある日立グループの企業であり、霞ヶ浦から工業用水を取水している企業でもあります。こういった取り組み等によって霞ヶ浦の水質を改善することは、協働先にとっても良いことであり、協働によってお互いにメリットがあるのも特徴のひとつです。

s畑再生前 s畑再生中 s畑再生後 s種まき s草取り s収穫 sできた大豆 s醤油仕込み製品化 化粧箱
ビン

③ 効果(一部見込み)
・耕作放棄地対策: 6000㎡の耕作放棄地となった畑の再生ができました。カラスのたまり場となっていた環境が改善され、周辺に畑を持つ農家にも喜ばれています。
・霞ヶ浦の生物多様性保全と水質改善、漁業振興効果:湖の外来魚を捕獲することで出来上がる肥料を活用することで、霞ヶ浦の生物多様性保全と水質改善に寄与します。
・畑の生物多様性保全:環境指標生物として扱われることの多い歩行虫のトラップによる調査結果でも、再生前後で個体数が2倍に拡大するなど生物多様性の向上が見られます。
・里山の原風景の再生:畑やため池(ビオトープ))、草原や林を連続した環境として整備することで、里山の生きものが暮らせる原風景が再生できます。
・環境教育:参加者の環境学習効果はもちろん、できあがる醤油を活用する地域学習、環境学習を醤油醸造場周辺の小学校で行うことで、地域で脈々と行われてきた伝統的なものづくりや企業との協働や生きものについて学ぶ場として活用されます。
・福祉への寄与:できあがる醤油の箱詰めなどに参加いただくことで、社会参画の場となっていきます。
・地域活性化:上記のような効果を通じて、畑を中心に様々な活性化が図られます。sビオトープ造成2 sビオトープ sginyanma

 

④ 活動内容
耕作放棄され10数年がたった畑を社員ボランティアとともに再生するところから取り組み始め、プロの農家でも難しいとされる大豆の無農薬栽培に取り組みました。無農薬で栽培するために畑にビオトープ池を整備し、害虫の捕食者を誘致することやウサギやカラスなどの食害等を減らすために畑周辺部や隣接地の整備にも取り組んでいます。以下、活動履歴です。
2012年3月 耕作放棄地の再生、ビオトープ池の整備(畑の表面を覆うツル植物の除去、雑木伐採など)
6月 大豆の種まき、周辺部の笹藪の整備
7月 畑の草取り、霞ヶ浦での自然再生活動
11月 大豆の収穫、新たなビオトープ池の整備、周辺部の笹藪の整備
2013年3月 醤油の仕込み
2014年3月 醤油の蔵出し、仕上げ作業

s周辺林整備前 s周辺林整備中 s周辺林整備後

⑤ 位置づけ
・地域活性化: 伝統産業である醤油造りに霞ヶ浦再生という新たな価値を吹き込み、ブランド価値を高めることで、失われつつある地域の誇りを取り戻し、活性化につなげていきます。伝統産業は霞ヶ浦や地域、歴史を象徴するもので、それが持つブランド力やネットワークも活かすことで、新たに自然や霞ヶ浦、地域や人とのつながりを生み出していくことができます。
・環境教育: 地域の特性を象徴する伝統ある「ものづくり」を学ぶことによって、こどもたちが地域の伝統を活かした自然との共存と活性化を目指したまちづくりの発想を学ぶことができるようになります。
・社会を変える: 真の社会変革は古いものを捨て去るのではなく、古くからあるものに新たな価値を見出すものです。地域に深く根を張った伝統産業が霞ヶ浦再生という目標を地域の人々と共有することで、新たな結びつきと物語(コンテキスト)を得ることができます。
・企業との協働: 企業活動において霞ヶ浦とのつながりがある日立化成工業株式会社は伝統産業である醤油づくりに参加することで、地域特性を活かした地域貢献事業を行いたいと考えています。アサザプロジェクトは伝統産業が持つブランド力やネットワークを活かしてさらなる取り組みの拡大を図ることができます。
・循環型社会: 最先端技術が持つ効率と機能を活かすだけの循環型社会の構築は地域の文化を失わせるものとなります。伝統産業が持つ地域特性や資源、知恵や技術、人材を最大限に活かし、高付加価値のものづくりを行うという理念や考え方を、地域に根差した循環型社会の構築に活かしていきます。
・ 自然再生・生物多様性: 伝統産業は長きにわたりその土地で行われてきたので、その土地の自然や生物多様性とつながりがあります。伝統産業に霞ヶ浦再生につながるコンテキストブランドが創出されることで、地域の自然とのつながりが価値として浮上し、地域文化に根差した自然再生を進めることができます。

 
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