1日きこり

①    「一日きこり」とは

霞ヶ浦流域面積の約2割まで減少している森林・里山の保全は、霞ヶ浦の水質を考える上で急務の課題となっています。そこでボランティア活動で手入れし、水辺の保全を図るプロジェクトです。

②    「一日きこり」の特徴・意義

森林の土にしみ込んだ雨水は、1000ヶ所以上ともいわれる谷津田でわき出し、水田や川を通って湖へと注いでいます。森林は、かつては薪炭やほだ木として利用され、手入れされていましたが、燃料革命や生活様式の変化により間伐や下草刈りなどの管理が行き届かず、とても荒れています。林内は薄暗く、住んでいる生きものも少なくなっています。その森林をボランティア活動により手入れし、間伐材は湖岸の植生保全事業に利用するという他に例のない取組みです。山がなく平坦な地形である霞ヶ浦流域では開発が進み、森林も流域面積の2割まで減少しています。減少に歯止めをかけ、保全の意義を理解してもらう貴重な機会になっています。

③     「一日きこり」の効果

・保全する森林はアサザプロジェクトが行う谷津田再生の場所と隣接しています。連続的に保全する事によって、生きものの道がつなががるので生きもの多様性が向上します。

・活動によって再生された森林の林床では、植物の種類も増加し、タカ類やフクロウなどの採餌が見られるようになっています。

・参加者とっては、豊かな自然の中で汗を流すことによって日ごろのストレス解消になっています。

・手入れによって見通しの良くなった森林では不法投棄も減り、地域にとても歓迎されています。

09_一日木こり前 ➔ 09_一日木こり後

④ 「一日きこり」の活動内容

主に一般市民のボランティアが定期的に森林の間伐、下草刈りなどの手入れを行っています。また、作業に関連して炭焼きやキノコの原木作りを組み入れたり、作業場所周辺の自然観察などのプログラムを取り入れ、大人も子供も楽しめる内容になっています。

地域活性化・・・不法投棄の場になるなど、見捨てられていた里山に手が入りました。作業で発生した間伐材等は霞ヶ浦再生事業に利用され雇用を創出しました。

 

環境教育・・・手入れされた森林・里山は学校教育の場として利用されています。里山は古くから人と自然が関わってきた伝統的な場所であり、日本の原風景です。手入れされた里山が全国的に減る中、このような学習の場があることは非常に貴重です。

 

社会を変える・・・水源地の森林を手入れして出た間伐材を湖の再生事業に利用するという画期的な方法で、湖と森林をつなげることができました。取組みを進め、流域全体の自然再生を実現させます。

 

企業との協働・・・流域各地の様々な企業やボランティアと協働で行っています。また、谷津田の再生を行っている企業も周辺の森林に取組みを広げつつあります。

 

循環型社会・・・手入れによって出た間伐材を下流の湖で使う事例ができました。林業の課題である間伐材の活用が実現しています。

 

自然再生・生物多様性・・・粗朶など間伐材の利用を促すことによって広範囲の森林の保全・再生が可能です。森林と社会の様々なつながりを作る事が流域全体の生物多様性の保全につながると考えています。

 
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