上流から下流まで~地域での展開例~
石岡市周辺を例にご紹介します。
①谷津田の保全
荒れ果てている霞ヶ浦の水源地である谷津田。
奇跡的に残された豊かな自然、清い水を守るために、無農薬有機栽培で酒米を作ります。
作る過程は企業の社員教育と連携して、醸造は地元の酒造会社で。
その水は山王川に流れ込み、霞ヶ浦へ・・・。
②オニバスビオトープ
放棄された休耕田に山王川の水をくみ上げてビオトープ化しました。
生活排水の浄化、絶滅危惧植物オニバスの育成、一年を通した湛水田を実現。
ここで増えた種子は山王川を下って高浜入りへ流れ込み、かつてのオニバス群落の再生を目指します。
③河川環境改善(石岡市と協働)
直立護岸でまっすぐな深い川は、流れが速く、生きもの達には大変すみづらい環境です。
廃棄処分の石屑を有効利用して流れを蛇行させたところ、植物も根付くことができました。
石の間に生きものが潜んでいるのか、サギやカワセミが良く狙っています。
④学校ビオトープ
動物はメダカとタニシ、植物はアサザと霞ヶ浦の水草だけを入れます。
そのうち、学校周辺の環境を教えてくれる生きものたちが、たくさん訪れるようになります。
アサザやメダカの遺伝子系統保存の役割もあります。
霞ヶ浦北浦流域の110校が参加。
⑤山王川河口ビオトープ(国土交通省と協働)
土砂が溜まり機能しなくなったヨシ原浄化施設を、ビオトープに改造しました。
機能維持と管理を市と市民が、大規模な補修は国土交通省があたる、という管理協定を結んで協働しています。
⑥駅ビオトープ
学校ビオトープのネットワークによって、小さいけれども豊かな水辺がつながりました。
さらに水田や湖を介して、駅にもトンボがやってきます。
現在、JR高浜駅(上りホーム、改札出口)、JR石岡駅(上りホーム)、鹿島鉄道石岡駅ホームに小学生が作ったビオトープがあります。
廃線となった鹿島鉄道ではお花見シーズンにアサザ号を運行していました。
⑦植生帯復元地区(国土交通省と協働)
豊かな植生帯を取り戻すべく、コンクリート護岸を湖からの浚渫土で覆い、浅瀬を創出。
浚渫土に含まれる埋土種子の発芽による、本来の植生回復を見守ります。
岸を荒波から守る粗朶消波施設を造成し、その内側には市民の手でヨシ・アサザなどを植え付けています。
⑧のっこみランド
湖岸沿いに広がる水田は、霞ヶ浦の原風景でもありましたが、いまでは放棄が進み、湖と田んぼの水の道はすっかり分断されています。
春ののっこみ(魚の産卵行動)にあわせ、湖からつながったビオトープを産卵に適した形に設計することで、霞ヶ浦で命を育む魚達を応援します。